『ゆりかごで眠れ』 垣根涼介 | 固ゆで卵で行こう!

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ゆりかごで眠れ〈上〉 (中公文庫) ゆりかごで眠れ〈下〉 (中公文庫)


ゆりかごで眠れ〈上〉 (中公文庫)
垣根 涼介

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垣根 涼介






コロンビア・マフィアのボスである日系二世のリキ・コバヤシ・ガルシアは、警察に捕まり拘留されている部下のパパリトをあらゆる手段を使って救いださんとする。





幼い頃にゲリラに両親を殺され、そしてまた血の繋がりもないのに育ててくれた養母もマフィアの争いによって亡くしたという過去を持つリキ。

愛する養母が言う憎しみの檻に捕らわれていた訳ではないけれども、大事な何かをどこかに失くしたままのリキの生き方は、コロンビ・マフィアのボスとなっても何ものにも執着せず、ただ生きる為に生きているだけといった人生。

そんなリキの心に変化が現れたのはストリートチルドレンのカーサを拾ってしまった時から。

その時からリキの生は、ただの生ではなくなるのだけれども、憎しみの檻に捕らわれた生き方しかできないコロンビア・マフィアたちの世界の中で、キが望むのはカーサの幸せと、そして・・・。


その生き方を選んでしまった時点でリキの行く末というのは最初から暗示されており、そして予想通りの結末に向かっていく中で、前半のリキの生い立ちやカーサを拾い養うようになっていくまでが実に印象深く描かれています。


それに対して後半、部下のパパリトを奪還するまでの話は、どんな場面でも陽気なラティーノたちのお陰でユーモラスな部分もあわさって、一気に最後まで読ませます。

しかし切迫した場面でもそれが命取りになりかねないのに、またどうしようも無いような状態の中でも、とことん陽気なラティーノの姿は救いではあるけれど、結局は檻から抜け出すことが適わない姿はやはり切ないものでした。


ラストはほぼ予想通りだったのですが、それに至るまでの事が、というか元刑事である妙子や、コカにはまってしまっている刑事武田について、もっと深いところまで描いて欲しかったですね。

このリキと妙子、そして武田のどこか現実とは違う場所に心があるような三人が共感や理解し合うような部分があれば、よりラストが昇華されるものになったのでは、少々残念な気がしました。