| パノラマ島奇談 (江戸川乱歩推理文庫)
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自分と瓜二つの大富豪菰田源三郎が病死した事を知った売れない小説家である人見広介は、源三郎になりすまして莫大な財産を使って沖の孤島に自分の理想である狂気溢れる美しき幻想の王国を作りあげる。
久々の再読です。
病死した大富豪になりすまして自身の夢であった世界を作り上げる広介。
その孤島に広がるのは、狂気に彩られているけれども、それだけにより美しく鮮やかで、その裏に毒があったとしても思わず惹きこまれざるえない大パノラマ。
なんとも色彩的で幻想的。
狂おしく美しい世界に惹かれた読者も多く、江戸川乱歩の代表作の一つとして必ず挙げられる作品ですね。
理想を現実に変えていく広介だけれども、予定外だったのが源三郎の妻を広介も愛してしまったこと。
しかし、真実を知られるわけにはいかないという思いが、より狂気に満ちた世界である事を印象付けるようです。
そしてパノラマ島に打ち上げられる花火と共に迎える終焉もまた狂気と美しさを印象付けるものです。。。