『狐笛のかなた』 上橋 菜穂子 | 固ゆで卵で行こう!

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狐笛のかなた (新潮文庫) 狐笛のかなた (新潮文庫)
上橋 菜穂子

新潮社 2006-11
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人の心が読める「聞き耳」という力を亡き母から受け継いでいる少女・小夜は、ある時犬に追われている子狐を助ける。

実はこの子狐・野火は、この世と神の世の<あわい>に住む霊狐であり、呪者の使い魔であった。

四年後、小夜は自分の母親の事、そして力の事を知っている大朗と鈴という兄妹と出会った事をきっかけに、隣接する二つの国の争いに巻き込まれていく。





物語自体は意表を突くような展開などはなく、割合オーソドックスなストーリー展開を見せます。


しかし、その場面場面の情景が浮かんでくるような描写が心地よいです。

登場人物たちも、深く掘り下げて描いてはいないのですが、なんというのでしょうか、この作品全体を包む淡い雰囲気が非常に合っているんですよね。

小夜や野火、そしてかつて小夜が野火を助けた時に出会った屋敷に閉じ込まれて暮らしていた小春丸たち、それぞれが多くは語らなくても、彼らの胸のうちがスゥと読む者の胸に沁み込んでくるといった感じが本当に心地よかったです。


その淡さがラストシーンを非常に美しく見せています。

切なくもあるんですが、優しく暖かいラストシーンはとても美しく、思わず溢れる想いを止める事はできないでしょう。


切ない想いと、愛おしい想いに溢れた物語でした。。。