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スリー・アゲーツ―三つの瑪瑙 (集英社文庫)
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北朝鮮の大物スパイが日本に潜入。
精巧な偽ドル紙幣をばらまくその真意は?
そして一体何が行われようとしているのか?
米国の<会社>の下請け機関のアナリスト葉山は、徐々に露わになるその北朝鮮のスパイの姿にある事に気付くのだが。
デビュー作である『プラチナ・ビーズ 』に続く"鉱物”シリーズ二作目で、第二回大藪春彦賞受賞作。
今回、ある任務を帯びて日本に潜入してきた北朝鮮のベテランのスパイであるチョンが、任務ではなくある目的の為に葉山たちを翻弄する行動に出ます。
北朝鮮に残してきた妻と愛娘。
そして日本で出来た愛人とその息子。
家長として二つの家族を想う真摯なる姿。
どちらの家族もチョンにとってはかけがえのないもの。
しかし、今回の任務の後は二度と日本の地を踏めない・・・。
そして故郷の北朝鮮でも愛娘の身を案じざる得ない・・・。
どちらかを選べばどちらかを犠牲に・・・。
二つの家族を救う為に、その身を懸けて一人戦うチョンの姿に胸を打たざるえない。
前作に比べて展開も早く、読みやすく感じる事もあって最後まで一気に読めます。
また、チョンを追う葉山が誰よりもチョンの事を理解する者となっていく様子も感動を高める要因にもなっています。
何ものにも属していないという感覚に悩む葉山が、チョンの事を理解する事によって何が起ころうとしているのか判明し、そんな葉山だからこそチョンにある事を葉山に賭ける事を決意させるのでしょう。
そして迎えるラストシーン・・・思わずこみ上げるものも感じてしまいました。
前作のようなアクションシーンはありませんが、そのぶん故郷と家族との間で引き裂かれるような想いに駆られるスパイの悲哀や、諜報小説として前作以上に楽しめる力作ですね。
