『朱夏 -警視庁強行犯係・樋口顕-』 今野敏 | 固ゆで卵で行こう!

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朱夏―警視庁強行犯係・樋口顕 (新潮文庫) 朱夏―警視庁強行犯係・樋口顕 (新潮文庫)
今野 敏

新潮社 2007-09-28
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金曜の夜、警視庁強行犯第三係長の樋口警部補が帰宅すると妻がいない。

これまで黙って出掛ける事のない妻。

帰ってこない妻の身を案じ眠れぬ夜を過ごす樋口だが、結局妻は帰ってこず。

樋口は信頼する荻窪署の刑事氏家に助けを求め、妻の行方を捜す事に。

しかし警備部部長のもとに届けられた脅迫状を捜査する為に週明けから捜査本部に入らなければならなくなり、個人で妻の事を捜すには時間が限られてしまい、焦燥感に樋口は駆られる。






警視庁強行犯第三係長の樋口警部補シリーズ二作目。


今回もまた世代論など説教めいた部分がくどいぐらい(笑)。

しかし、前作以上に楽しめた。


樋口の妻を誘拐した犯人について、そしてその動機についてはある程度早々に読者は気付いてしまうので、そういった意味でミステリとしては弱い。


けれども樋口が今回の事件を通して自身の家族についての想いを再確認する、ミステリというよりも家族を描いた物語としての側面が強い事によって前作以上に家族小説としての面白さが際立っているように感じました。


夫して父親として、普段は居ても居なくても同じような空気のような存在になってしまっている樋口だけれども、それを決して悪い事として捉えているのではなく、その距離感をあらためて感じる事によって、より強い夫婦の絆や家族への愛を再確認する樋口の姿に、思わず我が身を振り返る読者も多いのでは。


夫を信じる妻。

そしてその妻を救うのは自分で無ければならないと、冷静さを失い判断力を鈍らせる普段からは考えられないような必至な姿を見せる樋口。

長年連れ添った夫婦の仲は確かに空気のようなものかも知れないけど、培われたその絆に思わず素直に感動してしまった。


また、若い世代とは違った自分たち大人の世代の「夏」を謳歌しようという、お父さん世代へのエールも感じられたラストも心地良かったですね。