『隠蔽捜査』 今野敏 | 固ゆで卵で行こう!

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隠蔽捜査 (新潮文庫) 隠蔽捜査 (新潮文庫)
今野 敏

新潮社 2008-01-29
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周りからは“変人”と呼ばれる、警察庁長官官房である竜崎は「エリートは国家を守るため身を捧げるべき」と考え実践し、出世してきた男。

しかし、警察という組織を揺るがすような連続殺人と家庭内でのトラブルを抱え、竜崎は貫いてきたその信念に思い悩む。





今回初めて今野敏の作品に触れたんですが、この作品、非常に面白かったです!


主人公の竜崎は、エリート官僚は国家を守る為に身を捧げるべきで、その為に力を揮えるように上を目指してきた男。

その真っ直ぐなまでの信念は、周りの者から見ると杓子定規で堅苦しく「変人」と見られるどころか、妻からも実際に言われている。

けれども本人はそれのどこが変なのか全く理解できていない。


また、竜崎は有名私立大学に受かった息子を東大に入ってもらいたいが為に浪人させ、娘の縁談は自分の出世に都合がいいと臆面もなく言い放つ男。


とにもかくにもエリート意識の高さと家族への無遠慮な態度など、その人となりやキャリア官僚のとんでもないエリート意識が鼻についてなんとも嫌なやつに見える。


しかしその鼻につくようなエリート意識の高さが伺える序盤から一転、家庭内のトラブルが発覚した辺りから主人公の"変人”ぶりが違った意味で発揮され、それに納得させられるような描写が実にうまかった。

気がつけば竜崎の変人ぶりがいい意味での変人として見えてくるから不思議だ。


警察という組織を守るため。そして家族を守るために揺れ動く竜崎が下す決断とは・・・・。


揺らいだ自身の信念と、組織と、そして家族へと実直なまでに正面から向き合った迎えるラストも温かみがあって実に良かった。

こんな官僚がいるならば日本という国も大丈夫だと思わせるし、実際に少しでもいて欲しいと願わずにいられないですね。



さて、続編も非常に評判がいいみたいなので、是非続編も読んでみたいと思います。