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彷徨える艦隊 旗艦ドーントレス (ハヤカワ文庫 SF キ 6-1)
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救命ポッドから救出されたギアリー大佐は100年の眠りから目覚めるも、かつての戦いによって伝説的な人物として祭り上げられ、敵本拠地に乗り込み敗退した艦隊の指揮を任される事に。
“ブラック・ジャック”ギアリーと呼ばれた軍神として兵たちの期待を一身に背負うギアリーは、艦隊を故郷へ帰還させるべく艦隊を指揮するのだが。
主人公のギアリーは、100年の眠りから醒めると伝説的な英雄として祭り上げられ艦隊を指揮する事になるのだけれども、100年のブランクの間に進歩した技術とは反対に戦争そのものに対する考え方が後退している事が、逆に主人公じゃなければ艦隊を無事に故郷へと指揮できないと思わせるような説得力があって良かったですね。
ギアリー自身は決して伝説化されるような軍神ではなく、100年前に必要にかられてとった行動によって英雄化されていて、生身の自分と兵たちの期待するような“ブラック・ジャック”ギアリー像とのギャップ、それに艦隊内の仕官たちとの考え方の違いなどに苦悩する様子も個性的な設定で面白いです。
とにかくずっと悩んでる主人公は冷凍睡眠からの目覚めによる影響もあってか始終お疲れで、少々その健康面に読みながら心配もしたりして(笑)。
そんな悩める主人公には終盤では第三の存在も暗示されたりして、故郷への帰還は前途多難のようですが今後の展開が楽しみなシリーズの開幕です。
ところでこの艦隊には意外にも女性仕官が多いですね。
むさ苦しくなりがちなミリタリー系の物語ですが、女性が多数登場する事によってストーリーにも何か変化が見れるのかも気になるところです。
