『エイリアン・テイスト』 ウェン・スペンサー | 固ゆで卵で行こう!

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エイリアン・テイスト (ハヤカワ文庫 SF ス 16-3) エイリアン・テイスト (ハヤカワ文庫 SF ス 16-3)
ウェン・スペンサー

早川書房 2008-10-08
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狼に育てられたユカイア・オレゴンは、その境遇のせいか犯行現場でのわずかな痕跡でも相手を追うことができるという特殊能力を持つ、誘拐の被害者や失踪人の捜索専門の私立探偵。

そのユカイアが相棒のマックスと共に引き受けた女性化学者失踪事件は、ユカイアの生い立ちに絡んで予想もない事件へと発展する。





血がネズミ?

ネズミが記憶?


むむ、アイデアと設定が面白い!

推定年齢21歳というユカイアは、かつて狼の群れで暮らし、そして女性カップルの親に育てられた過去を持っています。

そして記憶をもたないユカイア自身を調査して欲しいとユカイアの育ての親からかつて雇われた私立探偵のマックスが、今度は父親がわりに、そして仕事のパートナーとしてユカイアを育ててきました。


そのユカイアが自身の特殊能力を活かして望んだ今回の事件では、ユカイアと同じような能力をもった仲間がいる事が判明し、そして自身の生い立ちの秘密を知る事に。

そしてそれはやがて地球規模への危機に発展するという意外にもスケールの大きい物語。


序盤の文章ではどこか散漫な印象を受けますが、ユカイアを始めとした登場人物はうまく描かれているので後半になればユカイアやユカイアと同じ能力を持ったものたちの秘密、そして事件の行方を追って結構夢中で読めました。


その中で残念だったのはユカイアがFBIの捜査官チェンとあっさりと恋に落ちる様子でしょうか。

あっという間に恋に落ちたと思ったら、あっという間に・・・ってこれじゃ、なんとも浪漫が足りないぞ。

その辺、チェン自身の視点の場面があったりすれば読む者ももう少し共感できる部分もあったのではと思います。

なんせ、事件が解決してからチェンの登場する場面すらないのは、特に赤ちゃん問題もあるだけにいくらなんでもないがしろにし過ぎな気もするゾ。


あ、あと個人的には終盤でマックスは是非ともユカイア化させて欲しかったかも。

きっとそうなると思って期待してたんだけどなぁ。

うーん、残念。

この残念な気持ちのやり場は・・・大好きな映画「ヒドゥン」を観るか、それとも大原まり子の「エイリアン刑事」の再読にでも持っていこうかな(笑)。


何はともあれ、とりあえず結構楽しめはしたので、シリーズ2作目が出たらまた読んでみよっかな。