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バビロニア・ウェーブ
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めずらしくハード系のSFを読んでみました。
地球から3光日離れた宇宙に偶然発見された銀河を垂直立するレーザー・ビームの光束。
その計り知れないレーザー・エネルギーを地球に向けて発射する事によって地球のエネルギー事情は一変。
しかし、バビロニア・ウェーブと名付けられた光束体の正体は謎のまま。
人類は謎を抱えたままその恩恵に与っています。
そんな中バビロニア・ウェーブに隣接する送電基地からの信号が途絶える。
果たしてなぜその基地からの信号は途絶えたのか。
そしてバビロニア・ウェーブの謎とは。。。
とにかくスケール自体はデカイ物語。
理系はからきしな自分は分かったつもりで読み進むのみ(笑)。
実際、人間ドラマは殆どみられないので、そういった意味では盛り上がりに欠ける部分あり。
しかし、科学者たちがバビロニア・ウェーブに対して、もしくは利用して実験していたそれぞれの秘密が徐々に明らかにされていく様子はなかなかにサスペンスフル。
特に序盤はホラーのような雰囲気さえあって、そういった意味での面白さを楽しめた。
何よりもバイロニア・ウェーブを発見したランドール博士が抱える秘密と実験。
そしてそれに関わった定期連絡船の操縦士であるマキタが最後に見せる行動は感動的でさえあります。
特に印象に残ったのはコロニー育ちのマキタの"感覚”。
重力を感じて育った地球の人々と違った感覚を物事に対して得るマキタ。
その感覚が人類を新たな次のステージへと導いてくれるものになるのかも知れないのですが、果たしてマキタのような感覚を人類を得る日がくるのは遥かな時がかかりそうとも思われますね。
