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雨の影 (ヴィレッジブックス)
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大阪に潜伏していたプロの殺し屋ジョン・レインは、ある日、警察庁の部長であるタツに発見される。
腐敗の進む日本の政治の改革を目指しているタツの頼みを断りきれず東京に戻る決意をするレインだが、標的は予想以上に危険だった。
日米ハーフの殺し屋“ジョン・レイン”シリーズ2作目。
前作でジャズピアニストのみどりと別れて一年後。
自身を守るために東京を離れて大阪に潜伏していたレインの元に旧知の間柄である警察庁の部長であるタツが訪れ、そして仕事を依頼してきます。
しかし危険な標的を調査中、今までレインを助けてきてくれたコンピューターのセキリティの専門化であるハリーの身にも不穏な空気が。
更にはCIAまで暗躍している様子を嗅ぎ取り、レインは大きく危険な陰謀の中心にいつの間にか入り込んでしまう事になります。
本作は前作以上にスピーディでスリリングな展開で、前作を上回る面白さ。
それは自身にとって敵となる人物は容赦なく命を奪う様子も前作以上に強烈だったことや、プロの殺し屋であるレインが狙う相手というのも危険な殺し屋というせいもあるだろう。
この辺はなんとなくロバート・ラドラムの“ジェイソン・ボーン”シリーズを思い起こさせますね。
そしてみどりとの別離の痛みを引き摺っているレインの前に現れるナオミというホステスとの情事。
それはレインにとってまた別の痛みを伴うものとなります。
これ以上誰かとの絆を持つまいとするレインの前に予想もしていなかった人物が現れ、それはレインにとってより大きな心の痛みをもたらします。
殺し屋として生きるレインにとって、誰かとの絆が深まれば深まるほど自身の安全も脅かされる。
そして別れの時はレインだけでなく相手をも大きく傷つけてしまう。
それを改めて悟るレインにとって幸福というのはなんなんでしょうね。
誰かの命を奪い、そして孤独にしか生きられないレインにとって安息と呼べる日々はくるのでしょうか。