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母恋旅烏 (双葉文庫)
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元大衆演劇の一座だった花菱一家は、現在はレンタル家族派遣業を営んでいる。
しかし、一家の長である父・清太郎に家族は振り回され、喧嘩は絶えず借金は膨らむばかり。
そんな一家の元に、かつて清太郎がお世話になっていた一座の計らいで、再び旅回りの一座に復帰するチャンスが巡ってくる。
荻原浩の真骨頂ともいうべきユーモアとそして痛みが伴い、それえいて希望が感じられる物語。
借金が膨らんで、住む場所さえ失った一家だけれども、旅回りの一座に復帰し、そして伝説の演目を見事なまでに上演するようになっていく様はユーモラスながらも圧巻。
そして夢や希望が膨らんだ時に見えてくる痛みも、ただ切ない痛みなだけでなく、どこか前向きに感じさせるような余韻を残してくれるところがニクイところでした。
主人公の一家はかつては大衆演劇の一座を率いていたけれど、時代の流れもあってお客さんが減り一座を解散させてレンタル家族派遣業を営んでいる。
しかし、父・清太郎を始めとして長男も長女もそして次男も曲者ぞろい。
長男と長女は自分の夢を求めて飛び出し、そして次男の寛二はというとその純真な心は家族にとって庇護すべき対象であるけれど、どこか負担にもなっていて・・・。
そんな家族を支える母親。
家族の為にと毎日を頑張ってきた母親も、妻であり母であるけれどその前に一人の人間。
それが家族の前に形となって現れた時、清太郎や寛二にとって簡単に受け入れられるものではない。
特に、清太郎がどんなにもどうしようもない夫や父であったとしても、妻であり母であるミホの事をどんなにか愛していたかが、清太郎が再び芝居の世界でその才能を発揮し始めていた時の様子の中で描かれているだけにより切ないものが。
しかし、愛してるからといってただただ自分達の世界の中に閉じ込めていてはいけないんですよね。
自分自身だってしたい事ややりたい事、夢があるように、誰にでももっている夢を奪うのはたとえ家族だからといって簡単に奪っていいものではないのでしょうね。
けれども清太郎の想いが変わらぬように、ミホの家族への想いも本物。
きっといつか・・・と思いたいと思わせるラストでもありますね。

