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虚空の旅人 (新潮文庫 う 18-5)
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「精霊の守人」から始まる“守り人”シリーズ4作目。
しかし今回はタイトルに入ってる“旅人”という言葉から分かるようにシリーズでは外伝的なもので、主人公はバルサではなくチャグム。
そう、精霊の守人でバルサに命を助けられ、そして精霊の守人として自分達の住む世界と繋がっている<ナユグ>と呼ばれる精霊たちの世界を体験したあの皇子。
あれから3年が経ち、新ヨゴ皇国の隣国であり同盟国であるサンガル王国へ新王即位儀礼に参列する為にやってきたチャグムが遭遇する、サンガル王国を舞台にした陰謀が描かれます。
そのサンガル王国で水面下で行われていた陰謀に、チャグムがかつて体験したように異世界との繋がりをもってしまった少女がいます。
その<ナユグール・ライタの目>と呼ばれる海底の民に魂を奪われ生贄となる運命の少女を助けたい。
そして陰謀の犠牲になったサンガル国王の次男であるタルサンを助けたいと願うチャグム。
それは新ヨゴ皇国のいずれは王となる身では勝手に決める事はできないものの、市井の民や暮らしに触れた事のあるチャグムにとってどうしても許せるものではない。
その様子にはじめは為政者としての考え方をもつようにと諌めていた星読博士のシュガも、自身が心の底から仕える事ができる相手としてチャグムの想いに応えようとします。
自身の命を懸けてでも救おうとする他人の命。
その優しさは為政者としては危ういものだけれど、シュガと同じようにチャグムが理想的な為政者となるように成長していく様を見守っていきたいと感じさせますね。
ところでシリーズの外伝的な作品のはずが、実はこの作品がシリーズのターニングポイントとなるようです。
益々広がりを見せる守り人シリーズの世界。
早くシリーズ5作目も文庫化されないかな・・・と思ったら、来年夏に文庫化のようですね。
うーん、長いなぁ。

