『ソウルケイジ』 誉田哲也 | 固ゆで卵で行こう!

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ソウルケイジ ソウルケイジ
誉田 哲也

光文社 2007-03-20
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多摩川土手に放置されていた車から血濡れの左手首だけが発見された。

目撃証言や指紋などから身元が判明。

そしてその人物、高岡賢一のガレージは血の海。

変死体遺棄事件とし、当人が殺害された可能性もあるとみて姫川たちは捜査を始めるのだが。




『ストロベリーナイト』(過去記事はこちら )に続く姫川玲子シリーズ二作目。


左手首の持ち主である高岡の周辺を探るうちに浮かび上がるもの。

それは高岡自身の過去。

そして高岡の養い子である三島耕介の過去に繋がっていきます。


そこに秘められた想い。

それは強い愛情。


切ない想いが事件の裏に隠されている事に姫川たちは気付く事になります。


本書に込められた父性というテーマ。

血は繋がっていなくとも高岡が三島に寄せる愛情は本物のもの。


そこに深い感動を・・・覚えることができるかどうかが本書の鍵でしょうか。

前作同様シリアスな部分とギャグめいた部分との混在した魅力はあるものの、本書に込められたテーマが描ききれてない印象を自分は受けてしまいました。

前作と同じようにもっともっと深く一つ一つのエピソードを掘り下げて描いてくれれば、きっと強い感動を覚えるような作品になったはず。

そういった意味で実に惜しいと思われます。



ところで、本作品では前作でガンテツと呼ばれた刑事に代わり、徹底して事実を拾い上げ、そこからふるいをかけて真実を探り当てる捜査をするという、玲子とは全く逆の捜査方法をとる日下という刑事が、玲子と対比するかのように描かれているのが印象的でしたね。
本当は玲子と日下の両方のいいところを持てるといいのでしょうが、玲子が日下を全くの個人的理由から嫌っていても、日下自身は玲子の事を認めている部分があり、そしてそれに対して玲子も日下の事を認めている様子は、お互いがそうは思わなくてもいいライバルというか、いい面で触発される相手と言えるのではないでしょうか。



それにしても玲子と菊田の恋の様子は・・・なんだか恋愛ごっこみたいですね(笑)。

ま、菊田の方に思い切りが足りないので菊田くんにはもっと男になれるような事件が必要かも知れないですね(笑)。