『三色パンダは今日も不機嫌』 葉村亮介 | 固ゆで卵で行こう!

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三色パンダは今日も不機嫌 三色パンダは今日も不機嫌
葉村亮介

ランダムハウス講談社 2008-03-20
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ぐうたら男の羽村の元に突然おでこに茶色い毛の生えた三色パンダが押し掛けてくる。

強引に居候を始めた三色パンダは何故かいつもイライラと不機嫌な様子。

その三色パンダが精神科のある病院に通いたいと言い出して・・・。






タイトルと装丁に惹かれて読んでみました。


誰とも係りあいをもたず、毎日をだらだらと過ごすだけの羽村のもとに押し掛けてきた三色パンダ。

いつも不機嫌で雑草を好んで食べ、ドレッシングには拘り、詩の朗読が日課。

しかし毎日ふてぶてしい態度な三色パンダも精神科に通いたいと言い出すなど、実は心の中に何かを抱えてる様子。

そしてある日ふいに羽村の前から突然姿を消してしまいます。


三色パンダがいなくなって、せいせいするはずの羽村だけれども、三色パンダと過ごすうちに羽村自身も変化していた事に気づきます。

働くことの喜びや他人と接することに対しての楽しみなどに目覚めはじめます。


そんな羽村の前に突然現れた白と黒のシルエット。

それは羽村の前から消えた三色パンダではなく普通のパンダ。


果たして羽村の前に現れるパンダたちはいったい・・・。



羽村がみかん農園でヒューマーさんから聞かされる「四角いみかんの神話」をベースに描かれる物語は、淡々と描かれるのだけれども、なんだか妙な味があります。

三色パンダと普通のパンダの関係などちょっとしたミステリー的な要素もあって、ついつい先が早く知りたくて一気に読んでしまいました。


人生に対して若干説教臭く感じるような描写もあるけれど、どこかキュートで、そしてシュールな寓話として気軽に読める一冊でした。