『飢えて狼』 志水辰夫 | 固ゆで卵で行こう!

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飢えて狼 (新潮文庫) 飢えて狼 (新潮文庫)
志水 辰夫

新潮社 2004-05
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三浦半島で小さなボート屋を経営している、かつて日本有数な登山家として知られた渋谷は学術的登山パーティへの参加を依頼される。

だが山を捨てた渋谷はその依頼を断るのだが、その後海上で不審な船に襲われた上に店と従業員を炎の中に失う。






志水辰夫のデビュー作。

『行きずりの街』が正直のめり込めなかったので、もしかしてシミタツは自分には合わないのではと考えつつも、よりハードな物語であるシミタツの原点である本書に挑戦です。



デビュー作という事もあってか粗い部分も見受けられますが、択捉潜入と脱出や冷戦下の米ソ関係を下敷きに「国家」というものにたった一人で立ち向かう男の強さを描いた力作でした。


そしてその強さが実は男の弱さの裏返しであるという事に自分自身が気付くという自己再生の物語でもあり、その再生は、国家と強大なものに一人の人間の人生が振り回される事に対する怒りを抱くことによって、愛する女性と自身との過去に向き合う様子を、物語が徐々に盛り上がっていく中で自身の弱さを認めていく展開は良かったですね。


しかし『行きずりの街』よりは物語の中に入り込めましたが、今回も完全にのめり込めたかというとそうでもなかったかな。

それは主人公の強さと弱さに関しては共感を覚えるものはあるものの、ヒロインとの悲恋の描き方がやはり自分の好みと違っていたからかも。


『裂けて海峡』や『背いて故郷』ではどうなのか。

近いうちにこちらも手に取って確かめたいです。