『耽溺者(ジャンキー)』 グレッグ・ルッカ | 固ゆで卵で行こう!

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耽溺者(ジャンキー) (講談社文庫) 耽溺者(ジャンキー) (講談社文庫)
Greg Rucka 古沢 嘉通

講談社 2005-02
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私立探偵ブリジット・ローガンが親友から人殺しの手伝いを頼まれる。

かつて薬物中毒だった二人の前に現れる過去。

一人息子と今の生活を守ろうとする親友を助けるために彼女は孤独な闘いに身を投じる。






ボディーガード“アティカス・コディアック”シリーズの番外編。

番外編といってもシリーズ3作目の『暗殺者(キラー)』(過去記事はこちら )から2ヵ月後から始まる物語で今回はアティカスの恋人であるブリジット・ローガンが主人公。

そう、恐ろしく口が悪くて、恐ろしく性格がきつく、それでいて矜持がとんでもなく高い、あの女私立探偵が主人公。


今回ブリジットは、10代の頃に麻薬に溺れてしまった過去を持っていたことをアティカスをはじめとする友や仲間たちには秘密にしていた事が明らかにされ、それだけでも衝撃を読者は受けるのですが、ブリジットが自分の過去と対面するために、そして親友を助けるためにたった独りで麻薬組織に闘いを挑んでいく姿は更に衝撃を受ける展開を見せてくれます。


頑固で意固地でひねくれもので、それでいて恐ろしいまでに矜持の高いブリジット。

どうして彼女がそのような存在なのか今回作中で明らかにされるのですが、その愚かともとれるようなまっすぐな生き方は、その口の悪さや性格のきつさがあったとしても実に愛しい存在だと気付かされます。


彼女の活躍と生き様は、番外編ながら本編以上に、そしてシリーズの主人公であるアティカス以上にハードボイルドで愛すべき存在ですね。