『影に潜む』 ロバート・B・パーカー | 固ゆで卵で行こう!

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著者:ロバート・B・パーカー  訳:菊池光
『影に潜む』 (ハヤカワ文庫)

胸に二発の銃弾を受けた死体が発見される。

パライダイス署の署長ジェッシィ・ストーンは部下と共に捜査を開始するが同じように二発の銃弾を受けた死体が連続して見付かる。

共通点は22口径の銃によって胸に2発というだけで、被害者に繋がりは見付からず動機の見えない犯人を追うストーンだが、ストーンを嘲笑うかのように再び死体が見付かる。







パラダイスという小さな街の警察署長“ジェッシィ・ストーン”シリーズ四作目。


今回は動機なき連続殺人犯を追う事件を軸に、その事件と平行して同級生のレイプされた少女を救う様子も合わせてジェッシィ・ストーンという男が描かれます。


寡黙でありながらも熱いハートを持つストーン。

ストーン自身は決して多くは語らないが、繰り返し唱えるのは別れた妻ジェンへの愛。

そのジェンもストーンという存在を必要としながらも、ストーンに依存する事への恐れから互いに時々会うだけの関係が続いています。

ストーンもジェンも相手への愛を意識しながらも別の異性と付き合い続けています。


ストーンはジェンが誰かと寝ていると考えるだけで相手を殺したいとまで思ってしまう。

けれど自分の欲求の為だけに行う行為は結局は何もかも失ってしまう。

その事を連続殺人の犯人の姿と重なるように描かれるのが今回の特徴ですね。


そして終盤、ストーンとジェンの関係にもようやく変化が見えます。

これによって今後シリーズとしてもどのように変化していくのかが興味深いところです。