『アイ・アム・レジェンド』 リチャード・マシスン | 固ゆで卵で行こう!

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アイ・アム・レジェンド (ハヤカワ文庫NV) アイ・アム・レジェンド (ハヤカワ文庫NV)
尾之上浩司

早川書房 2007-11-08
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突如蔓延した疫病で人類は絶滅する。

その中でただ一人生き残ったネヴィルは、家に篭って夜になるとやってくる“奴ら”を耐え凌ぎ絶望的な毎日を送っていた。




これまで「吸血鬼」や「地球最後の男」というタイトルで出版されていた本書は、ウィル・スミス主演の映画公開に合わせて原題の「アイ・アム・レジェンド」として新訳となって刊行されました。

自分が読むのは今回が初めてで旧訳との比較は出来ませんのであしからず。



さて、本書は地球最後の人類として、一人孤独で絶望的な戦いを続ける男が主人公。

酒に溺れ自分を見失いそうになりながらも、このような事になった原因を突き止めようとするあたりは、芯の強い人間なのでしょうね。

自分なら自暴自棄になって、「もうどうにでもして~」あっさり“奴ら”の仲間になってしまうかも(笑)。


ところで本書が書かれたのは50年以上前。

しかし全く古臭く感じない。

これは新訳になった効果もあるかも知れないけれど、作品にこめられたテーマやメッセージがこの作品を書いた当時よりもむしろ現在の方がより効果的に伝わってくるような、そんな世界に我々が生きているからかも。


よりよい未来を築いていく・・・そんな希望と期待を持っているはずの人類。

けれど、いつになっても戦争は絶えずどこかで行われ、差別は決して無くならない。


それに対して明確な答えなど出る事はないのかも知れないけれど、主人公が最後に言うセリフのように誇りを持ってそれぞれが生きていく事が出来ればと思います。