蛇頭の殺し屋ゴーストは密航船に中国から米国への密入国を果たそうとする人々を乗せていよいよ上陸せんとしていた。
四肢麻痺の科学捜査の天才リンカーン・ライムはその足取りを予測しついにその船を捕らえようとしたが、そこで予想もしない事が起きゴーストを取り逃がしてしまう。
“リンカーン・ライム”シリーズ四作目である『石の猿』がようやく文庫化。
今度の敵は蛇頭の殺し屋ゴースト。
その正体不明の殺し屋を追ってライムの頭脳が今回もフル回転します。
ただ殺し屋として有能なゴーストも科学という分野に関してはライムの方が一枚も二枚も上手。
だが民族の違い、思想の違いといったところからゴーストを追うのにライムは苦労する事に。
そこで今回一番おいしい役どころを貰ったのがソニー・リー。
中国公安局の刑事であるリーがゴーストを追う執念はライムを助け、またライムはリーとの間に友情を育む事ができます。
そして恋人でもあるライムの手足をなって鑑識を行うアメリア・サックスとの二人の問題も今回の見所のひとつ。
ライムの体を思うサックス。
サックスの心の傷を思いやるライム。
二人の関係がよく描けており、それが今回の一番のテーマなのかも。
さて、ディーヴァーといえば「どんでん返し」が代名詞。
それも“リンカーン・ライム”シリーズともなれば読者はそれを期待し身構えてしまうもの。
だけれども今回のどんでん返しはこれまでのものとは違った味付けがなされており、そういった意味では物足りないむきはあるかも。
「あっ」と思うようなものを提示するのではなく(実際犯人等に関しては読者は予測しやすい)、それはライムとサックスを思いやった著者からのどんでん返しなのかも知れない。

