『四つの雨』 ロバート・ウォード | 固ゆで卵で行こう!

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四つの雨 (ハヤカワ・ミステリ文庫 ウ 21-1) 四つの雨 (ハヤカワ・ミステリ文庫 ウ 21-1)
田村 義進

早川書房 2007-08-25
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50代半ばの心理療法士のボブ・ウェルズは、ギャンブルで身を持ち崩し妻には逃げられ、酒に溺れた極貧生活を独り送っており、唯一の楽しみであるバンドもボーカル不在でその活動の場を奪われようとしていた。

だが、そのバンドのボーカルに応募してきた美しい女性ジェシーとの出会いがボブの運命を一変させる。

彼女を幸せにする為にもお金が必要と考えたボブは、患者の美術商が持つ古代の仮面を盗み転売しようと目論む。






本書の主人公は生来の人の良さが祟って極貧生活を余儀なくされている心理療法士のボブ。

身から出た錆とはいえ、ギャンブルで身を持ち崩し最愛の妻はかつての友人に奪われ孤独な生活を送っていた。

だがバンドのボーカルに応募してきたジェシーと出会い、今まで考えもしなかったような思いに捕らわれ始める。

ずっと善行を施してきたのだから、一度くらいの犯罪ぐらい・・・と。

だけど、たった一度のただの盗みのつもりが、より大きな罪へと繋がっていく男の狂気と悲劇、あるいは喜劇を描いた物語。


夢を持って生きてきた筈の男が、その夢なんて叶うはずの無い事だと気付いた時に沸き起こる衝動。

だけど皮肉な事に、罪を犯す事で夢が叶えられる事に。

だが、それは所詮砂上の楼閣のようなもの。

新たに掴んだものの為に、更なる罪を犯し続けなければならないとしたら、元来善人であり周りからもそう思われていた男にとって、自我を保つのは難しい事なのでしょうか。



展開がスムーズで読みやすいのは、男の転落人生を描いている割にはどことなくユーモラスな語り口のせいだろう(その辺りはどことなくドナルド・E・ウェストレイクを思い起こさせるものが)。

そのユーモラスな語り口のせいで、大人のダークファンタジーといった趣きもある。

もう少し主人公が狂気に陥る様を緊迫感あるような表現で描いてくれたら個人的にはもっと好みだったかな。



それにしてもなんとも豪華なのは本書に巻かれている帯!

マイクル・コナリーやジョージ・P・ペレケーノス、T・J・パーカーなどなど、なんとも贅沢な程有名作家陣の名前と絶賛の声のコピー文句が踊っている。

それだけで釣られてしまうのはそれはもう仕方が無い事ですね(笑)。