- 著者:ロバート・ラドラム 訳:山本 光伸
- 『暗殺のアルゴリズム (上)』
- 『暗殺のアルゴリズム (下)』 (新潮文庫)
命の恩人で、そしてかけがえの無い親友でもあるジャレッド・ラインハートが拉致されたものの救出作戦は行われない事を知った米国際諜報員のトッド・ベルクナップは、組織を追われる覚悟で単独で救出に向かう。
そのベルクナップの前に現れるのは、世界を陰で操る組織とジェネシスと呼ばれる謎の大物・・・。
“猟犬”と呼ばれるベルクナップが友を救出する為に手掛かりを求めて命懸けで世界中を駆け回る。
だがその過程で世界を動かしている謎の組織やジェネシスと呼ばれる正体不明の人物について知り、更なる混迷の渦に飲み込まれていきます。
一方、駆け出しの証券アナリストであるアンドレア・バンクロフトは世界的に有名な慈善団体であるバンクロフト財団の理事に招聘される。
一族でありながら、その一族の一員である事を否定してきたアンドレアも莫大な報酬と、財団の長でもあり従兄弟でもあるポール・バンクロフトの理念に感銘を受けて理事となる事を受け入れる。
だがその財団の陰の部分を知って事で危機に陥った事から運命はベルクナップのゆく道と交差する事に。
最初は互いに相手を信用出来なかったものの、次第に心惹かれていく二人。
二人は協力してジェネシスや財団、そしてベルクナップの所属する組織からの追跡をかわし、真実を知るために、そして財団やジェネシスを打ち破る戦いを繰り広げます。
とにもかくにも本作もラドラムらしい、これでもかこれでもかと畳み掛けるような展開のオンパレード。
次々と沸き起こる謎や、命懸けのアクションの連続で、そりゃもうお腹一杯になること間違いなし(笑)。
正直それらの過程は冗長とも感じられる。
もう少しスマートに描いてくれれば、スリリングな展開がより緊迫感があるものとして楽しめたのでは。
もっともその辺りはラドラム自身が生きていたなら、出版される前に自身で修正など行っていたかも知れないですね。
ジェネシスの正体が気になって、またとにかく展開が早い事もあって最後まで割りと一気に読めるのだけれど、やはり食傷気味な展開には残念ながら本作を傑作と呼ぶには至らないなと思いラストを迎えたのですが・・・・。
いやはやこれはなかなかなラスト!
勘のいい読者なら察しがついていたかも知れないけど、自分は思わず「あっ」と唸らされてしまった。
このラストなんかは最近刊行されてきたラドラムの作品の中では、読後の印象の強さではトップクラスだろう。
それだけにラストに至るまでの展開にスマートさがあれば、確実に本作を傑作と呼ぶに相応しいものになったのではと惜しい気持れさせられた。
ところでラドラムが亡くなってからも『シグマ最終指令』『メービウスの環 』と続けて遺稿が出版されてきましたが、今度こそこれでラドラムの最後の作品になるのでしょうかね。