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鹿男あをによし
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『鴨川ホルモー 』が面白かったので、続いて万城目学の作品を読みました。
今回もちょっと不思議な世界の物語。
奈良を舞台に、赴任した女子高で遭遇する世界の運命がかかった騒動に巻き込まれる主人公が、そこで出会った人々と騒動を通して人として成長する様子が『鴨川ホルモー』の時よりもうまく、そしてスマートに描かれているのが好印象。
物語としては「ホルモー」よりもインパクトに欠けるというか、小粒になったと感じる部分はあるかも知れないけれど、自分はこちらの方が好みかも。
全体的に前作よりもうまくなってるなと思う。
主人公を含めて登場人物も前作よりも感情移入しやすいリアルさもあるし、全体的な流れからラストの場面までが流れるように描かれていて、ほんとうにスマートさが出てると思う。
ただ、それが逆に没個性に繋がらないかと心配になる部分もあるけど(汗)。
さて、今回の物語はなんといっても奈良が舞台というのがポイント。
そう、奈良といえばアレですよ、アレ!
それにアレやアレなんかも登場するので、読みながら奈良に行きたくなること間違いなし(笑)。
三つの女子高が集まって開催される大和祭の剣道大会の場面なども読みながら熱くなるし、なぜか主人公を「嫌い」だと言い放つ堀田という生徒、赴任先の同僚の先生や他校のマドンナ先生、そして何よりアイツとどう関わっていくのか、主人公の前途多難な臨時教師生活は可笑しくも、熱さ・焦燥感・希望などが混然とした青春小説として楽しめました。
ああ、それにしても、自分も「マイシカ」を持ってみたいものだ(笑)。

