- 著者:松宮 宏
- 『燻り亦蔵』 (マハジンハウス)
定年間近の樺沢亦蔵は、禁煙と決められた場所でも頓着なく煙草を吸い続けるヘビースモーカー。
会社でも誰とも口をきかず、ただ煙草の煙を吐き出しながら仕事を続ける亦蔵は、その容貌から毛蟹などとも陰口を叩かれているが、実は天才剣術士であった。
その亦蔵は、TVを観ていて思い立ちニューヨークへ飛び立つ。
そして悠然と煙草をくゆらすが、殆どの場所で喫煙が禁じられている為に当然逮捕される。
果たして亦蔵の真意は?!
『こいわらい 』に続く美少女剣士メグル・シリーズ第二弾。
前作が京都を舞台にしていたが、本作はなんとも意表を突く事にニューヨークが舞台に。
そして秘剣「こいわらい」の復活を主題にした剣術小説だった前作とガラッと変って、一気にスケールアップ。
世界一喫煙に厳しい街ニューヨークで、逮捕され釈放されたそばから煙草を、しかも悠然と実にうまそうにくゆらす亦蔵。
当然即再逮捕となるが、釈放されると同じ事を繰り返すばかり。
いったい何が亦蔵をそのような行動に駆りたてるのか。
亦蔵をめぐって世界的な禁煙ブームによって大打撃を受けている煙草産業。
そしてその煙草産業から援助を受けている政治家。
更にはCIAやFBIまで登場して物語は大きく動く。
そして最後の釈放の場面、必殺の剣術が炸裂!
その一太刀に込められている想いとは?!
ラストに近づけば近づくほど高まる緊張感は、前作以上のカタルシスを得させてくれる。
しっかりと芯の通った物語になっているせいか、前作よりも文章もこなれている感じがして好印象だ。
ただ残念なのは主人公であるはずのメグルの活躍する場面が少ない事でしょうか。
必然、闘いのシーンも少なくなっているので、その辺を期待してると物足りないかも。
しかし、亦蔵の命を賭した闘いは、目には見えないけれど続けられていたのだ。
そこに込められた想いや願いが感じ取りたい物語だ。