- 著者:神林 長平
- 『敵は海賊・正義の眼』 (ハヤカワ文庫)
タイタンの首都メカルークでは、八体の惨殺死体が発見されると共に「海賊を始末した」という犯行声明が。
市警警部のネルバルは広域宇宙警察の実習生サティに苛つきながらも捜査を始める。
一方海賊課刑事のラテルとアプロは同僚刑事セレスタンから「海賊と間違われた」との通信を受け、貨物船ハウバウアー号に急行するのだが・・・。
“敵は海賊”シリーズ7作目は、なんと前作から10年ぶり!
10年も待ってたなんて気はしないけれど、時の経つのは早いものだと思わずしみじみしてしまう(笑)。
さて、今回はタイトル通り「正義」がテーマ。
幻の海賊ヨウメイと出会った自然保護活動家のモーチャイが手にする事になる「正義」。
それは本当に「正義」と呼べるものなのか。
海賊よりも海賊らしいと言われる海賊課の刑事にとって「正義」の意義とは。
そして我々読者も「正義」の意義を思わず考えさせらえる。
もちろん「正義」なんて一概にこれだと言えるようなものなんてない。
人それぞれに「正義」はあるだろう。
しかしラテルが「なぜ海賊課の刑事になったのか」「海賊を撃って気持ちいいか」などと訊ねられて答える言葉には、全ての人が同感はしないかも知れないけれど、そのような気持ちを持っていたいと思わされるもので印象深い。
しかし、それにしても10年振りだけど、ラテルも黒いネコ型宇宙刑事のアプロも、そしてA級知性体にして対コンピューターフリゲート艦であるラジェンドラの漫才のような遣り取りは相変わらず楽しいですね。
ただ、10年振りだってのに主人公達の影が幾分薄かったのは少々残念でしたが(汗)。