- 著者:志水 辰夫
- 『行きずりの街』 (新潮文庫)
かつて女生徒との恋愛スキャンダルで名門校を追われ故郷で塾講師をしている波多野は、失踪した教え子を捜しに再び都内に。
教え子を捜しているうちに自分を追放した学園が今回の失踪事件に関係している事が分かる。
読んだのは結構前なんですが、記事にするのを忘れてました。
「シミタツ」と呼ばれる志水辰夫初体験で、なんといっても1991年版このミスの1位という事もあり期待して読んだのですが・・・。
うーん、期待が大き過ぎたせいか、どうも自分にはしっくりこなかったですね。
勿論グイグイ読ませてくれますし、再開した元妻と波多野とのやり取りや描写も良く、またハードなシーンも良かったです。
けれどもどうもバランスが悪い。
大人の恋愛とハードボイルドの融合がうまくいってない感じ。
それぞれは魅力的な部分があるものの、欲張り過ぎてどちらも不完全燃焼といった印象を受けてしまいました。
メインはハードボイルドやアクション部分よりも、やはり別れても想い続けた元妻との間の愛を、いかにして主人公が取り戻すのかといったところでしょうか。
失踪した教え子を捜す過程で、別れた妻との間に流れた月日の中で色褪せない想いを、月日が流れただけに逆に美しく、そして美しいだけでなく苦しみや痛みをも乗り越えて輝いているのかを、二人が共に見つけ出し新たな未来を見い出せるのか・・・。
その辺をもっと突き詰めて描いて欲しかったかな、自分としては。
もっとも著者としては、あえて突っ込まない事によって大人の純愛を描こうとしてたのかも知れないですね。
著者の作品は他にも名作と呼ばれるものが多数ありますし、最近は色々と他のジャンルにもチャレンジしている事も知っているので、とりあえず他の作品も読んでみたいですね。