- 著者:ジム・ブッチャー 訳:田辺 千幸
- 『ドレスデン・ファイル 魔を呼ぶ嵐』 (ハヤカワ文庫)
シカゴでただ一人電話帳の職業欄に<魔法使い>として登録しているハリー・ドレスデンの元に、シカゴ市特殊捜査班のマーフィー主任から呼び出しを受け、明らかに魔術によるものだと分かる心臓が身体から飛び出した無残な死体を2つ見せられる。
捜査への協力を要請されたハリーは調査を開始するが、マフィアから脅しを掛けられたり、次から次へと魔物に襲われる。
現代に生きる魔法使い“ハリー・ドレスデン”シリーズの1作目にして、著者にとっては処女作。
帯の「ノンストップ痛快ハードボイルド・ファンタジィ」という文句に惹かれて購入。
で、実際の内容はそれほどハードボイルドって感じでは無かったかも(汗)。
妖精や使い魔を操り、魔術を駆使して事件にあたる訳だけど、主人公のハリーが格好いいのかそうでないのか、強いのかそうでもないのか、どうも微妙な感じの描写で終わっているのがいまひとつ物足りなかった。
そういった意味では痛快って感じでもなかったなぁ(笑)。
もっともそれはシリーズを追うごとに今回はチラッとだけしか描写されていない魔法の世界の設定や、主人公の過去などの伏線が明らかにされていくうえで、主人公のハリーも格好よい場面を見せたり、はたまた三枚目な部分を見せたりと、色んな面を見せてくれるんじゃないかと期待されるし、個人的には今回の話では惚れ薬を間違って飲んでしまった女性にデーモンに襲われているという緊迫した状況の中に押し倒されそうになるなんていうコメディみたいな可笑しい場面が今後もあると嬉しいし、それと対比して格好よく魔法を使う場面を見せて欲しいところ。
実際このシリーズはなんでもテレビドラマ化もされているようで、本国ではシリーズも9作目まで出ているほど人気があるらしい。
というわけで、ハリーの今後の活躍に期待したいところです。