- 著者:森 奈津子
- 『西城秀樹のおかげです』 (ハヤカワ文庫)
八編の物語が収められた短編集。
短編集といってもSFの短編集。
SFといってもエロの短編集。
そしてエロといっても百合に特化した短編集。
そう、これはSFとエロとレズがコラボレートして奇跡的に面白い短編集なのです(笑)。
まずはタイトルに目がいきます。
「西城秀樹のおかげです」って、一体何がと興味湧くところ。
数年前に本書の事を知った時も変なタイトルだけど、どんな本なんだろと思った記憶があります。
で、今回ようやく手に取って読んでみた訳だけど、なんともバカバカしいようなネタが満載。
でも、それらがしっかりとSFとしての楽しみを備えてるから不思議(SFとはいえないものもあるけど)。
バカバカしいようだけど、そのネタはなんとも奇抜なアイデアから生まれていて面白い。
例えば表題作の「西城秀樹のおかげです」は西城秀樹のおかげで人類滅亡の危機から逃れた女性達の物語であったり、「地球娘による地球外クッキング」では宇宙人をテンプラにして食べようと考え付く女性たちの物語であったりと、その発想とそこから生まれる物語は実に可笑しい。
だから、こんな風に百合やエロをごちゃ混ぜにしてなかったら、もっと世間一般の評価は高くなるかも(笑)。
しかし、百合とエロがあってこそ成立する世界なんでしょうね。
百合ネタやエロネタ、それにSMネタに耐えられる人にはお勧めです(笑)。