- 著者:セルジュ・ブリュソロ 訳:金子 ゆき子
- 『ペギー・スー〈5〉黒い城の恐ろしい謎』 (角川文庫)
砂の魔法をかけられている為に、恋人のペギー・スーと普通の暮らしは出来ないと悩むセバスチャンは、夢の中で見た魔法を解く鍵、それを予知夢だと思い込みペギー達と伝説の本屋へ向かう。
しかし、その隠された伝説の本屋では本の怪物に襲われて・・・。
シリーズ第5作目は、「人間に戻りたい!」と願うセバスチャンの強い想いから冒険が始まります。
しかしその願いを叶えようと夢で示唆した存在の目的とは果たして・・・。
セバスチャンは呪いを解く事ができ、普通の人間に戻る事は出来るのか?!
今回のペギー達の冒険もまた奇妙なものでした。
隠された伝説の本屋さんで遭遇する本の怪物たち。
そこから逃げ出したペギーたちを待ち受ける不気味な黒い城の新たな罠。
どんな病気も怪我もたちどころに治してしまうが、その姿は誰も見た事の無いという幻の治療者<骸骨ドクター>という存在・・・。
罠に嵌められたセバスチャンを、そして世界を救う為にペギーと相棒の青い犬の決死の冒険が繰り広げられる中、動き出す文字や、骸骨ドクターによって治療され動き出す木や錆びた自転車など、奇妙で不気味な存在が印象的でした。
そしてペギーたちの前に現れた真実も、これまた奇妙で、それでいて可笑しいというか・・・なんというか奇抜なものでした。
シリーズをおうごとに奇妙さ、奇抜さが増していってる感じがする中、やはり最も印象的なのはペギーの相棒である青い犬。
青い犬を心配して一人で危険に飛び込もうとするペギーに、離れずに共に戦う事を伝える青い犬がペギーにギュッと抱きしめられた時、照れ隠しのように「ああ、耳のあいだを掻いてくれ。気持ちがいい」なんてセリフをいう場面が実にキュートでなんともハードボイルドなワンコだ(笑)。