『ストームブリンガー (永遠の戦士エルリック④)』 マイクル・ムアコック | 固ゆで卵で行こう!

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著者:マイクル・ムアコック  訳:井辻 朱美
『ストームブリンガー―永遠の戦士エルリック〈4〉』 (ハヤカワ文庫)

<混沌>の神々を受け入れて新王国を征服せんと侵略を開始したパン・タンとダリジョールの二つの国が連合軍の前に、世界は屈しかけはじめた。

そんな中エルリックは、最愛の妻ザロジニアの元でようやく得れた安息の日々から、否応なく<混沌>と<法>の神々の争いに巻き込まれる事になり、再び魔剣ストームブリンガーを手にする。





復刊シリーズ第四作目は、表題作他、「魂の盗人」「闇の三王」「忘れられた夢の隊商」の3つの中篇から、表題作の長編へ繋がる構成で成っており、<エルリック・サーガ>の完結編となるもの。


これまでに語られてきたエルリックの苦悩や葛藤、それに渇望などが最終章に向けて収束されます。


<混沌>の勢力が増すにつれて変貌する世界。

それはどのような可能性も見せるようだが、常に変化を求め、全てのものが変り続ける世界。

<混沌>の神々に仕えてきたエリリックが、世界を、そして愛するものを守るために逆に<混沌>に刃を向ける事に。

だがそれは<混沌>を打ち倒せば<法>の神々の勢力が強くなる事によって、この世界が未来の可能性が失われ、全くの停滞に陥る事になる。


エルリックは葛藤の中<法>の力を借り、<混沌>の力の象徴であるストームブリンガーを振るう事によって<混沌>に立ち向かいます。

その中で与えられた「予言」が指している世界の終焉に向かう事になっても。



とにかく最後の一ページを読み終えた時に感ずるカタストロフィは他に類を見ないでしょう。

いや、似たようなものを感ずるものは今では多々あるかも知れない。

しかし、エルリックの物語が終わりを告げる一文を読んだ時の衝撃は、一大叙事詩を読み終えたからこそ得られるものでもある。


古い作品ではあるけれど、ヒロイック・ファンタジーの新たなる未来を告げたサーガは今読んでも色褪せる事はない事を改めて実感である。




さて、今回の新編集シリーズはまだ続きます。

一旦は終わりを告げたサーガ。

実際に「ストームブリンガー」以降の話など出来るはずはないのだが(なので、全て「ストームブリンガー」以前の話になるのでしょうか)、21世紀になって描かれた新たなサーガを楽しみにしたい。