『カレンの眠る日』 アマンダ・エア・ウォード | 固ゆで卵で行こう!

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著者:アマンダ・エア・ウォード  訳:務台 夏子
『カレンの眠る日』 (新潮文庫)

暴力的な客から身を守るために、そして愛するエレンの為に次々と殺人を犯したカレン。

死刑執行を待つ彼女はエイズに感染しており、症状は悪化の一途を。

カレンの担当をする事になった女医フラニー。

そしてたまたま事件現場に居合わせた為にカレンに最愛の夫を殺されたシーリア。

三人の女性の運命は死刑執行の日を近づくにつれて運命の歯車が絡み合う。







愛される事、愛する事を知らずに生きてきたカレンは恋人のエレンに捨てられない一心で連続殺人を犯すも、そのエレンからの裏切りにより全ての希望を失い、ただ死を待つカレンの淡々とした心情。


患者である少女を苦しませてしまった後悔と、育ての親である叔父の死によって自分のアイデンティティを喪失していくかのようなフラニー。


そして夫の影を毎日感じ、夫を殺したカレンを憎むシーリア。



カレンの死刑執行の日が近づくにつれて、それぞれの心情が動き出す様が心乱される。

その中でも最愛の夫を殺され、その痛みから立ち直れず自分の行動などをコントロールしきれないシーリアの哀しみは胸を打たれる。

刑執行前にエイズで死期を迎えるかも知れないカレンの刑執行取り消しを求めて奔走する弁護士や、死刑に反対する市民団体などの言葉にも、夫の幻影に苦しむシーリアが耳をかす事などできず、日常の色々な場面で夫を思い出す場面では思わずこちらまで目頭が。。。


苦しみながら死なせてしまった少女のことが大きく心に圧し掛かかり、酒に溺れるような日を過ごすフラニーも、カレンの担当をするうちにカレンの中の何かに魅了されていく様子や、逆にそのフラニーの中に何かを見い出すカレンの心が動き出す様子は心揺さぶられるものがあります。


主人公三人の心を動かし、三人に救済を与えるものは、やはり“愛”。

読了後、その“愛”によって読者である我々も救いを受ける事ができるでしょう。



ただ、もう少しじっくりとした情景描写が描かれていれば、より一層心に響く物語になったかも知れないのが惜しいところかな。