- 著者:北方 謙三
- 『風の聖衣-挑戦Ⅲ-』 (集英社文庫)
元刑事の村沢は人を殺して日本を追われたという石本という男と共に、インデイオ達のゲリラ部隊を指揮している狼(ロボ)と呼ばれている日本人(水野竜一)を殺す為に雇われた。
訓練を受け、襲撃部隊を指揮しペルー山岳地帯に入り込み緒戦は勝利するものの、その後に出てきた狼(ロボ)に部隊は壊滅させられる。
自分の中に眠っていた<けもの>と<誇り>を賭けて村沢は再び狼(ロボ)に立ち向かう。
再びペルーの地へ戻った竜一は、友でありインディオの族長であるアキと共にインディオ達を率いてゲリラ活動をしていたが、一人の老人が故郷である村で死にたいという願いを受け、インディオの<誇り>をみんなに思い出させる為にも以前攻撃を受けて荒れ野となっている村に帰る事になります。
その竜一達の前に立ち塞がるのが今回の主人公といっていい<老いぼれ犬>高樹警部の部下だったという村沢と、その高樹警部に追われるように日本から流れ着いた石本。
その二人が自分の中に飼っている<けもの>を目覚めさす時、竜一は共に闘ってきた仲間達の血を再び多く流す事になり、読了後は胸の中をペルーの乾く冷たい風が駆け抜けたような哀切感を抱く事になるでしょう。
今回、インディオ達が自分達の誇りを胸に生きる様子がどこか哀しみを帯びるように描かれおり、竜一もそのインディオの戦士として描かれている様子が印象的。
そしてその竜一に向かう事で刑事時代に負った心の傷を癒し、男として、そして<けもの>としての生を全っとうしようとする村沢も、闘うことでしか自分を見い出せないような哀しい生き物として目に映った。