- 著者:ケン・ブルーウン
- 『酔いどれに悪人なし』 (ハヤカワ文庫)
元警官のジャック・テイラーは、その経歴を活かして探偵を。
酒と本をこよなく愛し、仕事の依頼も行きつけの酒場で受ける。
そんな彼の元に自殺した娘の真相を調べて欲しいと、美しい女が現れる。
あまり乗り気でなかったが、調べ始めたジャックは何者かに暴行を受ける。
ジャックは旧友のサットンと共に事件について、本格的に追求しようと行動に移る。
なんとも変った構成だ。
短い文章で、次の場面にポンポンと飛ぶように構築された独特のスタイルに最初は戸惑うも、ジャックの独白や、他の登場人物との会話がテンポよく、またこれがなかなか格好いいので、読み進むうちに気にならなくなった。
ジャック自身は自他共に認めるアル中。
しかし本の虫である事だけは止めようとしない生き方が、さらりと描かれていて共感を持てる。
だいたい、ハードボイルドなんて読む人間は、たいがい本の虫なので尚更だろう(笑)。
自分はアルコールはいける方ではないが、これで酒飲みでもある読者は思わず「うん、うん」とうなずきながら読んだりするんじゃないだろうか。
事件そのものは、ジャックは一度は止めようと努力した酒を飲んでるうちに、いつの間にやら解決に向かって行く。
好きな女の為にも、また友人の為にも酒を断とうとするが、根っからの酒好きはきっかけ一つで元の自分に戻ってしまう。
友人の葬儀にも列席できなくなってしまう自分にも嫌気がさし、また酒に溺れていく。
独特なスタイルを持った構成も相まって、倦怠感みたいなものも作品を包み込んでいるのもいい。
そして、ラスト。
これがまたいい。
くどくどと語らないところが格好いい。
シリーズ2作目も既に邦訳されているので、そちらも早いとこ読みたいもんである。
それにしても・・・この邦題はいかがなものか。
正直このタイトルがネックで最初は購入するのを躊躇してました(笑)。