『バッドラック・ムーン』 M・コナリー | 固ゆで卵で行こう!

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マイクル・コナリー
『バッドラック・ムーン(上・下)』 (講談社文庫)

仮釈放中のキャシー・ブラックは昔の仲間レオに頼み、仕事を斡旋して貰う。

ラス・ヴェガスでプロのギャンブラーの金を奪うといった仕事だが、舞台となるカジノはキャシーが捕まるきっかけとなった場所で、そこは恋人であり相棒だったマックスが死んだ場所だった。

どうしてもある目的の為に金が欲しいキャシーは、気乗りのしないまま仕事を引き受ける。

計画は順調に進んでいくが、空には不吉な月“ヴォイド・ムーン”が輝いていた・・・。





“ハリー・ボッシュ”シリーズや、その他のノン・シリーズとは全く違う一面を見せてくれる物語。

なんといっても主人公が犯罪を犯す立ち場の人間だというのが、これまででなかった設定で、興味深く読めた。



前半、キャシーがカジノに入り、金を奪う相手の部屋に忍び込んで下準備する場面も、また実際に金を奪いに侵入した場面も緊迫感溢れていて、一気に物語の中に没頭させられた。


主人公がまたいい。

ハイローラーと呼ばれる、カジノで儲けたギャンブラーの金を狙う犯罪者であった彼女だが、仮出所後は自動車販売員として大人しくしていたものの、どうしてもある目的の為に再び犯罪を犯そうとする彼女に、読者は思わずそれが悪い事だと分かっていても共感を覚え、うまく金を盗みだす事できるようにと思わず応援してしまう。


そしてカジノに雇われてキャシーを追う探偵、カーチも魅力的だ。

いつまでも今の地位に甘んじていないと、カジノの支配人の上手をいくように画策する様は、冷酷でありながらどことなくユーモラスでさえある。


そして原題である「VOID MOON」について語るレオも設定が面白い。

キャシーの恋人であったマックスとは異父兄であるレオは、いろんなジンクスや占いを信じる男。

キャシーに対しても「ヴォイド・ムーン」と呼ばれる時間帯には金を強奪するギャンブラーの部屋に入るなとアドヴァイス。

しかし不慮の出来事によりキャシーは・・・。



とにかくコナリーのエンターテナーぶりが見事に発揮された一作。

巻末の解説によると、この作品も映画化権は売れているらしい。

ハリウッドの事なので、実際に撮影されるかどうかも分からないが、うまく映像化されたら、実にスリリングなサスペンスになるかも知れない。


・・・って事で、激しく映画化希望です(笑)。