- 著者: ジャック・カーリイ
- 『百番目の男』
(文春文庫)
かつて連続殺人事件を解決し、制服組から新設された異常犯罪担当部署に昇格した刑事カーソン。
そんな彼の前に、新たな猟奇死体が発見される。
首が無く、死体には謎のメッセージが。
捜査するカーソンと相棒のハリーに立ち塞がるのは、警察内部の権力争い。
そして新たな犠牲者が発見され、事件は混迷を極める。
カーソンは事件解決の為に、誰にも知られたくない自身の秘密に向き合う。
本書がデビュー作で、既に映画化も決定されてるらしいサイコ・サスペンス。
しかし、サイコ・サスペンスでありながら、主人公が若々しく躍動的(青っぽくもある)なおかげで、陰惨さをあまり感じさせない。
各登場人物も魅力的に描かれ、一人称で語られる事も手伝って、最後まで疾走感を楽しめた。
しかし、どこか物足りなさを感じるのは自分だけでは無いかも。
一気に読めたので、もちろん面白かったのではあるが、カーソン自身が持つ秘密が、彼の過去に基づくものであり、彼自身が大きな能力を有している訳では無かった事が判明したせいだろうか。
相棒のハリーがカーソンを評して「あきれるぐらいできて、あきれるぐらい変」と言っているだけに、より個性的な人物であり、事件を解決するにあたっても、何か突拍子も無い事をするんじゃないかと期待してたせいもあるだろう。
もちろんカーソン自身は頭の切れる男ではある。
例えまだ青臭いところがあっても。
自分達の部署を守るためにとった行動も見事だし、事件の捜査もしっかりこなしている。
物語も、各登場人物との関係をうまく描いているし、死体に残されていたメッセージの謎も面白かった。
文章や構成の荒さも目に付くところがあるが、今後、より成長して面白い作品を見せてくれるのを期待出来るんじゃないだろうか。