著者:泉優二
『ウインディー (Ⅰ・Ⅱ)』 (角川文庫)
若きバイクレーサー杉本敬は、G・P一年目にして既に2勝を上げ、そして3勝目を手にしようとしていた。
しかし不運にもオイルにタイヤを取られクラッシュ。
重症を負った敬は、レースから引退を余儀なくされ、車椅子での生活に。
レース中に知り合ったフランソワーズの実家に世話になりながら、懸命にリハビリを終え普通の生活が出来るようになった敬はフランソワーズと結婚し、子供も生まれる。
レースだけが人生だった敬も、父親としての幸せを掴んだかに思えたが、再びレースへの想いが募り、レーサーとしてカムバック!
だが長い間レースの世界から遠ざかっていた敬にとって、レースの世界は厳しいものだった。
今は手放してしまっているが、実はバイク乗りであった自分は、昔はG・Pにも興味あった。
今でもたまにTVで観たりするが、もうレーサーの名前もよく知らない。
でも、この本を読んで、久々に夢中になった頃の興奮を思い出した。
で、本書だが、レースにカムバックしたケイは、娘を連れてヨーロッパ各地を転戦するも、レースにしか目がいかないケイが、そのレースを通じて何を得ようとしているのか、一緒になって考えさせられ物語であった。
ケイ自身が、なんの為に走っているのか自分でも理解できないまま、家族を失い、そして友人を失いながら、マシンを走らせるうちに、ついに手に入れるもの・・・。
ケイ自身はレースだけ見つめているため、まわりの人間は迷惑をいっぱいこうむるにも関わらず、それでもケイに惹かれていくのは、そこにケイのようにひたすら純粋に一つの事に打ち込む事は、なかなか出来ない事だと、ある意味憧れを抱いて自分自身を投影しているのかも。
でも、自分本位である事には間違いなく、周りの人間の事を考えないケイのような人物が、実際にすぐ傍にいたらイヤだろうけど(笑)。
著者はバイク(ライダー)に関連する物語をいくつも書いていて、そのうち何冊かは自分も読んでいる。
この作品はその著者の初の小説であるが、いままで読みたかったけど、先日古本屋さんで購入。
現在は他の作品も含めて絶版状態ではないだろうか。
また古本屋さんで探して他の作品も読みたいと思っている。