もう、東京に引っ越してきて、軽く10年以上経つ。
そんな中、時々、「私は、東京に来て、この 大都会東京に来て、心が汚れてしまったのか?」「人を純粋な目で見ることが出きなくなってしまったのか?」と、思うことがある。
東京で、普通に一人で歩いていると、知らない人に声をかけられることが多い。
たまに、道が分からない方から、「〇〇には、どうやって行くのですか?」とか 電車切符売り場とかで、「〇〇駅まで行くのには、どの線(急行か、普通か)乗ったらいいですか?」みたいに聞かれることがある。
そういう方達は困っているから、敢えて知らない人に勇気を出して声をかけている。
なので、知らない人から声かけられた時に、そういった場合もあるから、出来るだけ無視はしないようにしていたが・・・
東京で長く生活していると、そういう道を聞かれる為に声かけられたかと思って、普通に返事したりすると、実は、変な勧誘だったりとか、時に宗教関係とか・・、お金がらみだったり、しつこい変な声がけだったりすることがある。
優しそうな、見るからに困っている高齢の方に声かけられ、道とかに迷って声かけられたのかと思って、返事をしたら、変な勧誘だったりして・・・そういうことも多々あり、「見た目良さそうな優しそうな人でも、惑わされてはいけない」「やはり、知らない人から声かけられたら、変に返事しないほうが良い」と思うようになっていった。
なので、東京で生活していくうちに、知らない人に声かけられても、よほどのことがない限り、「すみません」と言って、その場を去ることにしている。
数ヶ月前に、割と家の近くの あるお店の前で(安いスイーツみたいなのが売っている店)の前で、私が、外にあったメニュー看板を見ていた。その日はあまりお金もなかったのと、別の用があり行く場所があったので、買うつもりはなかったのだが、「今後、このお店の前を通った時に買ってみたいな」と思って、メニュー看板を見ていた。
そしたら、店員のおじ様(50歳位?)が、お店の中から、次のように話しかけてきた。
「もうすぐ閉店だから・・・」という第一声が聞こえた。
なので、私はてっきり、「もうすぐ閉店だから、もう買えませんよ」という否定的な言葉かと思って、一瞬、嫌な気持ちになった。
でも、その言葉の続きが少しだけ聞こえて、「もうすぐ閉店だから、〇〇(←お菓子の名前)があるので・・・」と聞こえたので、私は、もしかして、売れ残りの〇〇を買ってほしいという勧誘?かと疑ってしまい、「すみませんすみません」と言って、その場を足早に去ろうとしてしまった。
東京生活が長い私としては、「知らない人に話しかけられ、快く応じるとバカを見ることもある」という経験が積まれてしまって、《知らない人かから話しかけられる=勧誘 or 物を買わされる》という図式があったので、警戒してしまったのだ。
でも、よくよく聞いたら、「もうすぐ閉店だから、〇〇(←お菓子?スイーツ?の名前)が余っているから、サービスで、 無料であげますよ」みたいなことを仰っていた。このご時世に、なんと温かいお気持ちのおじ様!
閉店3分前くらいだったので、恐らく、(賞味期限もあるので)たくさん残っていても処分しないとならないから、たまたまお店の前で、メニュー看板を見ていた私に無料であげようとしたのだろう。
おじ様は親切心で仰って下さっていたのに、私は、知らない人から話しかけられたと思って、すぐ疑いの目を持ってしまったことに、自分を恥じた。私は、いつの間に、人を疑うことに慣れてしまったのだろう。
私は、東京に来て、いつの間にか心が汚れてしまった・・と思った。