私の名字は、結構珍しい(と思う)。
地元でも、同じ名字の人に会ったことがないし、携帯電話が流行る前は、市内の電話帳があったが、市の電話帳でも、市内で1軒だった。
けれど、関西に住んでいた時の話。
私は大学生時代、関西空港でバイトしていた。
なかなかレアなアルバイトだが、飛行機の中でバイトをしていた(国際線・国内線問わず、ほぼ全ての飛行機の中の清掃・セッティング業務をしていた)。なんだか懐かしいな、あの時。普段味わえないような中での仕事だった。
飛行機が到着し、お客様が降りてから、さっと清掃にはいり、次、お客様が乗るまでの短い時間の間に、作業を済ませないとならないので、スピードをかなり求められる仕事だった。
国際線の飛行機の場合、なんだか、乗務員さんが何語だかを話している。
私たちは、作業着を来て、胸のあたりに、皆、大きく書かれた名札をして、作業をしていた。
私の名字は、房野(ふさの)。
その、アルバイトをしていた時に、飛行機の中をなんだか点検していたお兄さん(航空整備士さんか?分からないけど。当時、私は大学生だったので、私よりも結構年上に見えたが)が、私の名札を見て、「あれ?僕と同じ名字ですね。珍しいですね。僕は、房野(ぼうの)です。もしかして、岡山県出身の方ですか?(その方は、岡山県出身の方だったらしい)」と仰り、その方の名札を見たら、私の名字と同じ漢字「房野」と書かれていた。
でも、名字が同じ漢字だけど、読み方が違うので、「読み方は、違うんですが、読み方は違いますが同じ(漢字の)名字のかたにお会いしたのは初めてで、びっくりしました。私は、岡山県出身ではないですが・・」というようなことを、伝えた。
それまで20年以上生きてきて、初めて同じ名字の人に出会ったので、私も、とても、びっくりした。関西空港の、こんな1機の飛行機の中、狭い空間で、同じ名字の方にお会いするなんて・・・!
(でも、私は、岡山県には何のゆかりもない・・・)
読み方は違うけれども、同じ漢字の名字の方に出会ったことさえ初めてだったので、とてもびっくりした。
ただ、飛行機内の作業は一時一刻を急ぐので(清掃が遅れたからと言って、飛行機の発着が遅れるわけにはいかないので)、お互い業務があるので、本当にそれだけのすぐの会話で終わってしまい、それ以来お会いすることがなかったが、でも相手の方も、こうスピーディーに歩き回っている中、私の名札を見て同じ名字だとすぐ発見したのも、すごいと思った。
(飛行機内の清掃も、日により、国際線、国内線いろいろな航空会社の飛行機を清掃しないとならないので、毎日、毎時間、清掃する飛行機の種類も異なる。お会いしたぼうのさんは、どこかの航空会社の整備士さんなのか、整備士さん以外のお仕事されているのか分からないけど、飛行機関係の仕事をしている方に同じ人に二度会う確率も低いのだった)
私は岡山県出身ではないけど、どこかでつながっている遠い親戚なのかな?とも思った。
たまに、あのお兄さんのことを思い出す。
で、東京に来てから知ったが、私と同じ名字(しかし、関西空港でお会いしたお兄さんと同じように、私とは読み方が違う)の吉本の芸人さん〔ブロードキャスト!!房野史典さん〕がいると知って、びっくりした。芸人の方も、岡山県出身だった。
飛行機内でお会いしたお兄さんは、芸人の房野(ぼうの)さんよりも、もっと結構年上だ。
未だ、名字漢字も同じで読み方も同じ方には、お会いしたことがないけど、この、航空整備士さんみたいな方と、吉本の芸人さんは、読み方は違うが、なかなか無い名字だけに、勝手に親近感がわいてしまった。
でもあの、関西空港の飛行機内でお会いしたお兄さん、房野(ぼうの)さんは、飛行機内のあの一瞬の時間終われる作業の中、私の名字が同じ名字だと気付くなんて、すごいなあと思った。