檻のようになった個室ケージに入っていたその子は僕達が近付くと身体を檻越しに寄せて僕の指にスリスリしてくれました。
その子はキジトラ柄の子でした。
「この子が自分から人に寄って行ってスリスリするのを初めて見ました。とっても大人しくて良い子なのに
愛想があまり無いからご縁が無いんですよね。でも、お兄さんの事は好きなのかも知れないですね。」
職員さんがこのように仰いました。
聞くとこの子は管理センターに一番長くいる子でかなりの人見知りで見学者の人が来ても全く自分から寄って行かない子。
なにより翌週には殺処分になるという事でした。
そんな話を聞いて心がとても揺らぎました。
「今日は見学で下見のつもりで来ているし何も用意もしていないな。」
でもこの子には強制的に命の期限が決められている。
決めた!
この後キャリーを買ってきてこの子を連れて帰ろう!
そう思って恋人の方を見たら恋人はすべてを察していたように
「連れて帰ろう。貴方なら絶対そう言うでしょ。」
そう言ってくれました。
そして職員さんに
「この子を連れて帰りたいのですが今日は下見で来ているので何も持ってきていません。
そして休みが取れないと思うので直近で再来所出来ないのですがどうしたら良いでしょうか。」
と聞きました。
センターの方で使っていないキャリーがあるから持って行って良いとの事。
とても有難かったです。
職員さんはとても嬉しそうにキジトラの子に
「迎えてくれるって!これからはこんな狭い所じゃなくてのんびり過ごして幸せになるんだよ!」
と話していました。
その後、事務所で譲渡に関する書類記入を行っている際にキジトラの子に関して質問しました。
その子は推定2歳くらい、元は飼い猫ちゃんだったとの事。
とても大人しくて期限は決まっているが殺処分はどうしても避けたかった。との事でした。
書類記入も終わりキジトラの子をキャリーに入ってもらい館内の案内をしてくれた職員さん、
事務所の職員さんに挨拶をしました。
どの職員さんもとても嬉しそうに
「優しいパパとママだからうんと甘えて楽しい思い出をたくさん作るんだよ。」
そう言ってくれました。
そして管理センターを後にしました。
さて、問題は猫ちゃんのご飯やグッズが何も無いな、どうしようかな。
名前も決めていないしどうしよう。
そう思いながらとりあえずホームセンターを目指して車を走らせました。
続く
とっても甘えん坊さん