初めての移植日。
痛みの程度がよく分からず
不安な気持ちと
お腹に命を迎える高揚感があった。
採卵組は朝一だったが
移植組は午後一。
多くの人でごった返す時間帯と違い
落ち着いた雰囲気。
尿が溜まっているほうが
子宮内の様子が見えやすいらしく
トイレを数時間前から制限される。
普段そんな頻繁に行かないのに
行くなと言われると行きたくなる。
クリニックに着いて
お守りのように
持参した水を飲み続けた。
処置の前に先生から
凍結胚の融解状態を教えてもらう。
3つある胚盤胞の中で
グレードの高い順に移植される形だった。
4AAという一番良い卵が2つあったが
PC上に映る管理番号の#1的な卵が
今回の移植に選ばれていた。
生まれてくる順番や
生まれてくる性別が
機械的に決められることに
少し切なくなりながらも
それもこれも全て運命!と捉えた。
無事融解できていたようで
移植できることになった。
採卵と違って普段着のままでよかった。
準備ができると番号で呼ばれるが
移植の人が沢山いて一向に呼ばれない。
スマホで猫の写真や動画を見て
癒されながら順番を待った。
いざ呼ばれて手術室に入ると
まず移植する卵を顕微鏡で
先生が見せてくれた。
融解後も順調に分裂してますよと言われて
そうですか良かったですと
我が子の様子を第三者から教えられる
学校の面談のような気持ちになった。
移植の流れは
人工授精に近いものがあった。
消毒してチューブを挿入する。
一つ大きく違ったのは
移植場所を見定めていくために
お腹の上から器具を押し当てられて
子宮の中を映しながらやっていたこと。
この押し当てられ方が尋常じゃない。
鋭い痛みではなく
固く重い鉛を怪力の人が
お腹に埋めてくるような痛み…
そんなにぐりぐりと強く当てないと
見えないのか?
私の尿の量が足りないから
見えづらかったのかもしれない。
そして子宮の形が独特だからか
移植に手こずっているような雰囲気で
想像より時間がかかった。
この先生ちゃんと移植できているのかと
少し不安になった。
移植時点で失敗していたとしても
患者には分からないので
生命力という神秘に隠されて
医療ミスが曖昧にされることも
あるんじゃないかと思ったりする。
膣や子宮内で起こる色々なこと以上に
予期せぬ腹部への直接的な痛みに
冷や汗をかきながらなんとか終わった。
少し休んで抗生物質をもらって
1人で帰宅できた。
着床するかしないかのタイミングのため
激しい動きは避けたほうがいい。
そう思ってクリニックからの家路は
かなりノロノロと歩いた。
高齢のおばあさんに抜かれた時は
ゆっくり歩きすぎているかもと
恥ずかしくなった。
でも
今この瞬間にも、夫との子どもが
私のお腹の中で命を育もうとしている。
気をつけられることは
全部やりたいという気持ちだった。
すでに受精5日目の卵を移植しているので
判定日までは1週間とちょっとだった。
そわそわしながらその日を迎えた。
