6月22日 久慈市街頭演説 小沢一郎代表 文字起こし | 『私にも夢がある!』一兵卒の呟き

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6月22日 岩手県 久慈市 街頭演説より

安倍さんは,アベノミクスのエンジン,アクセルを踏んでますます吹かすんだと,こう言っておられます。安倍さんの言によれば,アベノミクスによって日本はさらに成長し,景気は良くなる,国民の皆さんの暮らしはもっともっと良くなる,そういう触れ込みでありました。

 しかし皆さん,現実の今日のすがたはどうでしょうか。
 いつまで経っても景気は良くなりません。そして,収入は減っております。
 そしてさらには,都市と地域の格差,所得の格差,産業別の格差。
 色んな分野で,格差がどんどんどんどん広がっているのが現実であります。

 それにもかかわらず,まだまだこれから,この安倍さんのやり方を,アクセルを吹かしてやるんだと,こう言っている安倍さんの神経,私どもにはわかりかねるんですけれども,ほんとうに皆さんがこの安倍政権を良しとするならば別ですけれども,このままでは私どもは,国の将来,そして国民の皆さんの暮らしも,決して良くならない。危うくなる一方だと,そのように私どもは考えております。
 ですからこそ,この選挙戦は,野党4党が力を合わせて,この安倍さんのメチャクチャな政治を止めさせなければならない。そういう思いで各党が協力して候補者を1人に絞ろう,こういうことで今日に至っております。

 皆さん,政治は生活です。
 政治は国民のためのものです。
 ですから私たちは生活の党という名前を付けました。
 国民の皆さんの,きちんといのちと暮らしをしっかりと守ってくれなければならないのが,政治であります。
 そのことをちゃんとやるんだったらば,国民皆さんからすれば,別に何党の政権であろうが,総理が誰であろうが,一向に構わない。きちんとした政治をやってくれればいい。それが政治の役割だと,私は思います。
 ですから私も,安倍さんがほんとうにその政治の使命,責任を果たしてくれるんならば,何も批判をいたしませんし,安倍政権を交代させなければならないとも言いません。

 ですが,安倍さんの政治は非常に危険であります。
 そして,基本的に,難しい言葉で言えば政治の哲学。政治の考え方,これがまったく間違っている。少なくとも私とは,まったく違うということであります。

 今言いましたように,政治は皆さんの暮らしを守る。
 安倍さんの考え方は,皆さん,どうですか。自由競争,市場原理優先。自由に気まま勝手に皆やらせる。競争して負けた奴は仕方ないんだと。そういう考え方であります。
 これじゃあね,もはや政治じゃないでしょ。
 競争して強い者だけが生き残ればいいんだと言うんじゃ,政治の必要はない。弱肉強食のケモノの世界と同じことになってしまいます。

 ですから我々の先達は,そういう自由は大事だけれども,自由気ままにやっていたんでは,強い者,競争に勝った者だけが生き残ることになり,その他の人びとは打ち捨てられてしまう。
 だからこそ近代以降,社会保障,年金,あるいは色々の雇用の面においてもセイフティ・ネットと呼ばれるようなものを作ってきた。
 しかし,安倍さんはこれもまた,「規制撤廃」「規制改革」ということで,このせっかくの人類の知恵でもって編み出してきたセイフティ・ネット,年金だ,医療だ,雇用だ,あるいは私どもの主張で言えば戸別所得補償方式,等々の色んな生活を守るその制度さえ壊そうとしているのであります。

 その意味において,これはまさに歴史に逆行する,民主主義に反する,政治のやり方だと,私は思います。

 若干具体的な例を挙げて申し上げますと,たとえば今色々と話題になっております安保関連法ね,集団的自衛権がどうだ,こうだという議論を,皆さんメディアを通じてお聞きになると思います。
 集団的自衛権であれ,個別的自衛権であれ,簡単に言うと正当防衛の権利。
 これは,相手から,自分が襲われる,殴るかかられる,攻撃される,そのときにその相手に対して反撃する。その,反撃することのできる権利が,正当防衛,自衛権なんです。
 自分が全然攻撃されていない,自分が襲われてもいないのに,ずうっと向うのほうの人に勝手に自分が殴りかかる,それでは正当防衛ではありません。
 すなわち,日本国憲法は,この正当防衛権は,自分の国が,我々日本が攻撃されたときにのみ,反撃する。
 それが正当防衛であり,自衛権である。

 ところが安倍さんは,日本が直接攻撃を受けていなくても,アメリカと,あるいはその他の国とでもいいんですけど,とにかく直接日本と関係のない紛争や戦争に自衛隊を派遣して,一緒に戦うことができる。
 そういう法律を,数の力で無理矢理に作っちゃったんですね。
 これはまさに歴史の過ちを繰り返すことであります。

 戦前の歴史を覚えておられる方もあるでしょう。
 日本は,あの時代,大日本帝国は 「 邦人の生命・財産を守るため,日本の国益を守るため 」 と言って,大陸に出兵し,戦争を拡大していった。
 その結果が,敗戦の惨めな結果であります。
 私どもは,そういう歴史の轍を踏んではならない,そのことをほんとうに,この選挙戦においても,お互いに,確認し合わなければならないと思います。

 それからもう1つ挙げれば,TPP。
 TPPの問題も,自民党の議員の人が選挙前に何て言ってましたか?
 皆,TPPは「反対だ」「反対だ」って言ったはずです。(自民党の)ポスターだって「 TPP 反対 」 だって,貼っていたはずです。
 そうでしょう!
 ところが,選挙終わっちゃったら,どうですか?
 選挙前には「反対だ,反対だ」と言ったのに,今,アメリカはじめ多くの国々の中で,一番積極的に推進しているのが,日本政府でしょ。
 アメリカでは今大統領選挙,あの候補者たちも,アメリカでさえTPP反対だって言ってるの。
 昨日ですか,ヒラリー・クリントン氏はTPPは「もう一度やり直す必要がある」と言ってるんです。
 それなのに,日本政府は国民にウソを吐いてまで,これを進めようとしている。

 これを言うとね,自民党の議員の人は「いや,オレは反対なんだ」と「オレは反対だけど,政府がやってるから,しょうがないんだ」と,こう言うでしょう。
 こんなバカなこと,ありますか!

 日本は,大統領制ではありません。議院内閣制。すなわち国会で多数を取った政党が,政府でです。
 ですから,今の政府は,自民党・公明党の政府なんです。
 だから「私は反対だけど,政府がやっている」なんて理屈は,成り立たない。
 皆さん,こういういい加減なウソを吐かれたときは,絶対,見破っていただきたいと思います。

 TPPはね,農林水産産業に直接的な影響を及ぼします。けれどね,それだけじゃないんですよ。

 たとえば,国民皆保険。医療は,今皆,保険に入ってますね。そして誰でも具合悪くなったら病気になったらお医者さんに診てもらうことができる。
 日本のこの国民皆保険の制度は,皆さんから(指摘される)不満や問題点はありますけれども,世界中で最も完璧な誇るべき制度なんです。 
 ところが皆さん,このTPPの中で,その皆保険を危険に晒す,危うくするものが,入っているんです。

 それは何かと言いますと,自由診療。自由診療という名の下に,この皆保険の制度を,仕組みを,壊すようなやり方を,TPPで認めようとしてるんです。
 自由診療って何かと言いますと,保険のない,保険適用のない診療です。すなわち高度の先端的な最新の技術やらあるいは薬やら,そういうものは皆,自由診療の中で,特定の収入のある人だけしか受けられない。

 アメリカでは,5000万人の人たちが医療を受けられないでいるんですよ。これが現実なんです。
 なぜか。アメリカでは皆保険制度じゃないんです。それぞれ個人個人が民間の会社と契約して医療保険の便益を受けている。ですから,民間の会社と契約する収入のない人は,保険がまったくなしのままになってるんです。
 これが5000万人ですよ。3億人のうち5000万人は,お医者さんにかかれない。医療サービスも受けられないという問題がほんとうの現実のアメリカなんです。

 日本でも,その自由診療という名の下に,これがどんどんどんどん広がっていけば,所得の多い人が結局全部そっちいっちゃうでしょ。保険診療ではなく,その自由診療の最先端の技術のそっちのほうに皆いっちゃったら,残ったこの保険制度は,どうなるんですか? 維持できないでしょ。
 
 そういう大問題を含んでいるんです,このTPPは。
 もちろん,その他にも,日本の仕組みをほんとうに変えるような制度が入っている。
 だから私たちは,反対しているんです。

 こう言うとね,都会の人たちは「小沢一郎は田舎の出身だからね,反対してんだろう」 なんて言いますけれども,そんなことではない。今,言ったとおり。都会の人たちだって,皆等しく,このままだと国民がほんとうに困る状態になっちゃう。

 そしてまた,原発事故,この三陸の大震災。皆さん方も大変なご苦労があったけれども,先日は熊本でまた大地震が起きました。熊本にはたまたま原発がなかったからいいですけれども,ちょっと南にずれたら鹿児島の川内原発がある。ちょっと北にずれたら佐賀県の玄海原発がある。そこであのような地震が起きたらば,ほんとうに福島原発の事故以上の大事故になる。

 今も福島の原発事故は全然収拾できてないんですよ。あそこに住んでた人たちがまだ帰れない。まったく不安定な生活を強いられるだけではなくて,あの放射能そのものを,封じ込められないでいるんです。
 政府はなるべく発表しないように,発表しないように,してますけれども。 ときどきあるでしょ。放射能が漏れた,汚染水が漏れた,いや何がどうした,と。
 まったくコントロールできていないんです。ですから,そういう意味でね,原発の,いわゆる放射能の恐ろしさというものは,当初,40年前にやったときはね,これはちゃんときちんと安全にやっていける,最後の廃棄物もきちんと廃棄(処理)できるという筋書きだった。
 しかし,今もって,40数年経ってなおかつ最後の原発の高レヴェル廃棄物,もちろん人間なんか触れたらすぐ死んじゃうような高レヴェルの廃棄物の処理が,その方法が,まだ見つかっていない。
 だからね,日本は地震,火山帯の上に日本列島はありますから,ひとたび原発の下で地震が起きたら大変なことになります。 

 そういう問題点,色々あり。

 我々はこの安倍政権が,そういった国民の1人ひとりのいのちの問題,暮らしの問題に,一向に目をくれようとしない。
 ただ1つは市場経済。どんどんどんどん強い者が大きいところが儲けりゃいい。いずれそのうち皆にもおこぼれがまわるだろう,なんつう話をしてるわけですよ。実際,ほんとうに(その話を)してるんですよ,政府は。そのうち滴が垂れ落ちていって皆にもまわってくると。
 最初に言ったように,全然まわってきていない。
 大企業は今,366兆円の貯金をフトコロに持っている。下にこぼれ落ちるどころか,全部,上にストップしている。

 そういう政策をもっともっと続けるということになりますと,ほんとうに,私はこの国の将来を心配しておりますし,ほんとうに,国民の皆さんの暮らしがね,必ず大打撃を受けることになります。

 日銀は,国債,国の借金ですが,その国債を30%以上買う。そしてどんどん,お金を刷ってんですよ。日銀が国債を買うということは,日銀がお金を刷ってるんです。いっぱい印刷している。その印刷したお金が皆,国民にまわりゃあいいけれども,金融機関の中にジャブジャブしてる。全然一般にはまわらない。そうでしょ。銀行に行ったってね,金貸して下さいなんて言っても,ほとんど貸しませんよ。
 そういう状況を続けていったら,最後はとてつもないインフレになる。
 今,デフレだ,デフレだと言ってますけどね,裏付けのないお金をどんどんどんどん刷るんですから,戦争中と同じですよ。 
 戦時国債と言いますね。戦争中もうしょうがないからって,お金をボンボンボンボン印刷してやるわけですよ。
 ですから皆さん,戦後,円の価値は大暴落しちゃったでしょ。
 昔,戦前は,1ドル=2円。
 ところが戦後,円はもう紙屑みたいになった。貯金していたものが全然ダメになったという,年配の方に聞けばわかります。
 そういうことに,なりかねないんですよ。
 (安倍政権は)そんなことを平気でやっている

 ですから今は何とかかんとかやっていますけれども,ほんとうにこのまんま安倍さんのやるとおりにやっていたら,大変なことになる。

 最初は株も一生懸命買ったでしょ。今また(株価が)下がっちゃってるけど。
 あの株も,年金の運営で,皆さんの年金の運営でもって,株を買ったんですよ。
 そんで去年は,5~6兆円の損害を出しているだろうと言われている。
 今年の1-3月期合わせて,昨年度の損失は10兆円ぐらいになるんじゃないかと言われている。  

 政府は,発表しない。
 6月中に発表するって言ってた話を,選挙なもんだから,選挙済んでからにする。
 まったくまあ,姑息なことをやってるんです。
 だけどとにかく,皆さんの積み立ててるお金,年金を,ほぼ10兆円近いと言われているお金が,株を買って,一部の人が儲けるために使われちゃって,今は下がっちゃったから損しちゃう。こういうことを,やってるんです。だから私たちは,それは止めるべきであると。

 今の個別の話で言えば,私は憲法のきちんとした基本の原則は守っていくべきだというふうに考えております。

 TPP。これは,自由貿易は大事です。関税もできるだけ下げなきゃなりません。しかしながら,そのために国内の農業者,漁業者が,生活に困るようではダメです。
 だからそこにきちんと,輸入品が入ってきてもいいように,安全網=セィフティ・ネットを作るべきです。その上で,この関税の自由化っちゅうのは,していかなきゃならない。それなしで,そのまんまやったら,ほんとうに悲劇の結果になってしまう。

 また,原発は,福島の原発事故で,数年前にドイツでは原発止めるって決めたんですよ。それで今廃炉し始めている。日本の原発の事故で,ドイツは国策として与党も野党も国民も全部含めて,原発は止めるって決定をした。そして今1つずつ解体している状況なんです。
 私は一度ねドイツへ行って,日本ではまだ原発推進の政府の勢力がもの凄く強いんだって言ったら,えらいビックリされて「事故の起きた日本で何でまだ原発推進してるんだ? 私たちはあんた方の事故で,原発止めることにしたんだ。ええーっ!」って,えらく驚いて皆さんが言いました。 

 そういうようにね,ほんとうにやっぱり私たちは,現実の政治を,考えていかなければなりません。
 そして,皆さんの本来の生活を守る。
 政治は,生活である。
 その信念,その哲学でもって,政治をやっていかなければならない。
 私は,ほんとうにそう思ってるんです。

 ですからこそ,この選挙でね,とにかく安倍政権を退陣させよう。
 参議院選挙だから,国民の皆さんは,参議院で勝っても負けても自民党の政治は変わんないじゃないかというふうに思ってる人が多い。ですから,わりあい関心が低い。
 しかし,皆さん,この選挙でね,野党4党がほんとうに力を合わせて勝利をすれば,少なくともこの危険な安倍内閣だけは退陣させることができる。

 どうかそういう意味でね,今日お出での皆さんはもう言うまでもないことですが,1人でも多くの人に,投票所に行っていただきたい。
 このまんま安倍さんでいいって人は別にどうでもいいですけど,このまんまじゃ困ると,我々の生活がどうなると,やっぱりきちんと守ってくれる政治じゃなきゃダメだと,そう思う人は1人でも多く投票に行っていただきたい。

 皆さん,日本はね,民主主義国家だと言います。
 民主主義国家とはどういうことですか。
 それは,国民主権。国民が最後の最終の判断をする権限を持っているちゅうことです。
 もっと簡単に言うと,国民が政府を決めることができるということです。
 1票,1票で,できるんです。 
 そして,この政府をどういう政府にするかは,選挙でもって決める以外に方法はないんです。
 そうでしょう。
 今ちょっと言いましたが「(自民党は)TPP反対だ」つったって,選挙終わっちゃえばもう好き勝手やってるじゃないですか。
 選挙終わっちゃったら,皆さんがこれを止める方法はありますか。
 ないんですよ,現実に。
 選挙で,これを止める,これを変える以外に,方法はないんです。

 どうかそういう意味で,皆さんが主役,皆さんが主権者。最終の決定権を持ってんですから。
 その選挙戦です。
 どうか皆さんの1票,1票でもって,ほんとうにこの国を危うくする,我々の生活を,ふるさとを,危うくする,この安倍政権の退陣を,何が何でも実現させていきたい。  
 私ども,ほんとうにそういう思いで頑張ります。どうぞよろしくお願いします。ありがとうございました。