生活の党と山本太郎となかまたちの小沢一郎代表は22日午後、参院選の第一声を岩手県二戸市内で行った。各党党首が午前中に第一声の演説を行う中、小沢氏は地元で聴衆約60人を前に「これ以上アベノミクスのエンジンをふかされたら、国の将来は危うい」などと訴えた。小沢氏の第一声の詳報は次の通り。
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皆さん、こんにちは! ただいま、ご紹介たまわった小沢一郎だ。お忙しい中、街頭に足を運んでいただき本当にありがとうございます。心から御礼申し上げます。今日からいよいよ参院選が始まった。私どもは野党4党一致して(参院選岩手選挙区に)木戸口英司候補を推薦して、皆さんに信を問おうとしているところだ。本来なら候補者本人が来て皆さんにあいさつするところだが、なにしろ郷土は県土が膨大で、1日ではなかなか回りきれない。
今回の選挙にあたり、昨日も安倍(晋三首相)さんと一緒だったが、彼はこれからますますアベノミクスのエンジンをアクセル踏んでふかすんだと言っている。しかし皆さん、これ以上アベノミクスのエンジンをふかされたのでは国の将来も、国民の生活も全く危ういものになってしまう。アベノミクスは、彼の当初の言い分は、これを推進すれば国も豊かになる。みんなの暮らしも豊かになる。そういうふうに言っていたが、現実はどうだろうか。景気はいつまでたっても、首相の話とは全く逆で良くならない。国民の所得はずっと減る一方だ。
都市と農村の格差、雇用の立場の格差、所得の格差。この格差は広がる一方ではないですか。このまま安倍さんのやりたい放題にさせていたんでは国の未来も危ないし、国民の命と暮らしも危ういものになる。そういう思いで何としてもこの選挙戦、頑張らなくちゃいけない。そこで野党の4党の合意になって木戸口候補を推薦しているわけだ。
例えば、いろいろ話題になっている安保関連法案。集団的自衛権ばかり言われているが、個別的自衛権も本当に拡大解釈は危険。戦前の歴史を振り返ってみてください。大日本帝国は個別的自衛権、邦人の命が危ない、財産が危うい、国家の権益がおかされる。そういう名目のもとに大陸に出兵してきた。
今、集団的自衛権、これは直接日本が攻撃を受けていないのに、アメリカやその他の国と一緒に他のところに行って、紛争に自衛隊を派遣して、武力の行使ができる。そういうことを彼は言っているわけだ。皆さん、これは日本国憲法に違反することだ。憲法はわが国が攻撃を受けたときのみ、自衛権、集団的自衛権であれ個別的自衛権であれ、簡単な言葉で言えば正当防衛権だ。正当防衛は相手から攻撃を受けたときに反撃できる。何にも攻撃もされない、殴られもしないのに向こうに行って、関係の人を殴るなんてことできるはずがない。
安倍さんのやり方は国民と国家を危険にさらすと同時に、本当に過去の歴史の反省、誤りを全く考えていない。安倍さんを憎らしいわけでも何でもない。しかし、本当に国民のためを思ってやっているかどうか、その政治に対する、難しい言葉で言えば哲学、政治の考え方が全く異なっている。だから私は安倍政権はいけないと言っている。
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TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)だってそうでしょう? 選挙前に自民党候補者は「反対だ」って言っていたじゃないですか。ところが選挙に勝っちゃうと、どんどんどんどんTPPを進める。アメリカの大統領候補でさえTPPは反対だって言っている。日本政府は各国の中で一番推進している。TPPは本当に農業に直接的な大きなダメージを与えるちゅうことは間違いない。
しかし、それだけじゃない。例えば医療。日本は国民皆保険、誰でも保険医療を受けられる。世界に冠たる制度だ。アメリカの医療の仕組みを日本に導入しようというのがTPPだ。自由診療という名の下に。保険はきかない。高度の医療、薬を受けられる人は高い医療費を払わなければ受けられない。保険の適用外のシステムを日本に導入しようとしている。これは自由診療が広がっちゃったら日本の国民皆保険医療制度は崩壊してしまう。収入のある人は全部そっちに行っちゃう。
これをTPPでもやろうとしている。アメリカのようなシステムにしようとしている。アメリカ流の社会にしようというのがTPPだ。農業は直接的な大きな被害、損害を及ぼすが、ちょっと長い目で見ると、もっともっと大きな問題がTPPに含んでいる。こういうことをぜひとも考えていただきたい。
選挙終わったら何でもやりたい放題。自民党の議員は「私は反対だが、政府がやっている」と言う。そんなバカなことがあるか。日本は大統領制ではない。政府と自民党は一緒だ。こんなバカなことがまかり通っているうちは日本の政治は良くならないし、皆さんの暮らしも保証されない。本当に今日の安倍政権のやっている問題点を見つめなければならない。
また、原発の問題がある。三陸の大震災、福島第1原発の事故が起きた。いまだに収束していない。安倍さんは、もう大丈夫だみたいなことを言っているが。マスコミもあまり報道しないが、放射線が漏れたとか、汚染水が漏れたとか言っているでしょ? 全然コントロールされていない。われわれの世代だけでなく、子々孫々に至るまで大きな被害を及ぼす問題だ。
日本は至るところ、いつ地震があるか分からない国だ。政府は、安倍さんは何をしているのか。原発を再稼働させる。新しい原発も作っている。反対している人は多いが、政府の方針によって再稼働され、新しく作られてまでいる。こういう問題は皆さんが関心を持ってやっていただかないといけない。
参院選だから、どうせ自民党政権は代わらないだろうと思っている人が多い。どうしても投票率が低くなる。自民党政権は続くだろうが、今回の参院選で野党が圧倒的な勝利をすれば、安倍さん自体は辞めなければいけない。時の総理、総裁が陣頭指揮をとって選挙に負けたら、過半数を失わなくても、現有勢力を大きく後退するようなことがあれば安倍さんは辞めなくてはいけません。私ども、まず第一歩としてそういうことを今度の選挙に皆さんにお願いをしている。
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国民主権とは、最終的な決定をする権限は国民にあるという意味だ。国民皆さんの考えで政権を作ることも代えることもできるのが国民主権、民主主義だ。主権を行使する機会は選挙のとき以外にない。安倍さんは生産性の低い産業はいらないと。地方もいらないんですよ。東京に集めて効率的にやった方がいいという考え方だ。自由競争、市場原理最優先だ。強い奴が生き残ればいいのだったら政治はいらない。
政治の役割は、自由は大事だが、その中で弱い立場の人、大部分の国民の暮らしをどこに住んでいても、どんな職業に就いていても一定の暮らしを保証していくために政治はある。政治は国民の生活を守るためのものだ。本当にその役目を果たしてくれるなら安倍さんだって、自民党だって、なんだっていい。しかし、そうでないから私はこの内閣は代えなくてはいけない。政権を代えるのは選挙しかない。18歳から選挙権だ。「若い人たちこそ自分たちの将来のことなんだから、自身が考えて投票しなければいけません」と言っている。
