第三章  街路



  実際に外に出てみると わからないもんだ。マップとかもらってきたらよかった。


 まぁ、あるかどうかは わかんが・・・・。一応、海に向かって歩いているんだが 何処へ行くのやら


 帰れるのか? なんにせよ。影の正体が分からないと 奴等の後ろだてに復讐してから


 謎解きか。直進していったら 大きな通りに出た。結構、人ごみが多くなってきた。


 う~~ん、左へ行くと 人が少なくて 右へ行くと 多いな。今、現在 人が少ないところへ行くと


 かえって怪しまれる。ここは、人ごみの多いところに紛れるか。


 大通りには、所々 侵入した魔術師についての情報提供の紙が張り出されていた。


 それをまじまじと見てみると 提供先に騎士団庁舎と書かれていた。


 ここは、王政だろ。現に俺を狙っていたのは 兵士と魔術師だ。騎士には会っていないんだが、


 もしかして、王権が騎士団に今回の件を依頼したのか? まぁ、俺が 影 を倒したからな。


 大通りを歩いていくと 大きな中央広場に出た。


 石畳の円形の広場で 中央にポセイドンの銅像があり、その周りが噴水になっている。


 海の神って ポセイドンの事か? ポセイドンの力を宿してある秘宝ってのは見物だな。


 中央広場には 店との店が多く 屋台なども多く並んでいた。


 まぁ、俺は 飯食ったし 何も買うつもりは無いんだが。中央広場から 大通りが五本ある。


 俺が歩いてきた道の先には 廃城があるらしい。後は、 港 騎士団庁舎 王城 教会 


 と標識が並んでいる。う~~ん、これと行って 行きたい所はないし 目的は復讐だし


 王城にでも行くか。標識の指す方向へと歩いていった。 最初の方は 人が多かったのに


 屋敷が近づいてくるごろには人は 数えるくらいになっていった。


 しかも いる人は 貴族のような格好をしている人ばっかだ。


 貴族等は、俺を見ると 自らの家へ入っていった。ちょっと不愉快だ。


 ただ、俺は 王城を目指す。


 ここらは、貴族屋敷のようで 徐々に傾斜がきつくなる坂の両脇に豪華な屋敷が並んでいる。


 俺みたいな服装のやつは 俺ぐらいだ。


 歩いていると 前から兵士が歩いてきた。十人ほどだ。一体・・・・・・・・・・・・・・・


「お腹すいてませんか? 何か作りましょうか?」



  そういえば、めっちゃ 腹が減ってるな。ここは、お言葉に甘えて 食べるか。



「そうだな、腹減ってるし 頼むよ。あっ、自己紹介 忘れたな。俺は、ラオスっていうんだ。


よろしく。」



「あっ、私は シェスカ です。」


「そういえば、俺って どれくらい寝てた?」


「一日半くらいです。」



  その言葉を聴くと 余計に腹が減ってきた。



「料理を作るのに多少 時間がかかるんで お風呂 入ってきてください。」


「お風呂 あるんですか?」


「えぇ、地下にあるんで 行って来て下さい。服も洗っとくんで、」


「いや、けど 俺 着替え持ってないし。」


「じゃぁ、よかったら 兄さんの服 着てください。入り口に置いとくんで。」


「あっ、ありがとう。」


「じゃぁ、今から 下に降りてきてください。」


「あっ、ちょっとだけ 荷物の整理をするんで 先に行ってください。」


「わかりました。早く来てくださいね。」



  荷物の整理というか、物騒な銃や杖を隠さないと ヤバイな。大体の人は 物騒がるし。


 ベッドの下にでも隠すか。



ラオスは、銃等を隠し 下に降りていった。


一階は、イタリアンレストラン×装飾 海  見たいな感じで つくられていた。カウンターとテーブル席が


あって、カウンターに一人の青年が 料理を作っていた。



  たぶん、あの人がシェシカの兄さんか。



「あの~、シェシカのお兄さんですか。」


「あっ、君は 路上で倒れていた少年か。」


「ラオスといいます。よろしく。」


「僕は、シェスカの兄 レイ、よろしく! 


で、すごい風というか衝撃波が街路に来てさ、収まったと思って そっちへ行ってみたら


五人組と君が倒れて痛んだよ。例の侵入した魔術師の犠牲者なんだろう?」



  そう思われているのか  メッチャ好都合じゃん。まぁ、そういうことにしとこうか。



「俺も詳しい事は覚えてないんですけど なんか 急に 風が押し寄せて 気絶したのかどうか。」


「君も大変だねえ。」


「いえいえ。」


「俺の服は、気軽に使ってもらっていいよ。シェスカが下にいるから。突き当りの階段を下っていったら


風呂に着くから。」



  レイの言われたとおりに下に降りていった。石の階段で螺旋状に下っていた。


 兵士からにげているときも思ったんだが 石造建築があちこちに見られる。


 なにか、ヴァピルハマの秘密と関与しているのか?


 そうこう考えている内に風呂に着いた。入り口の前には シェスカがいて 服を準備していてくれていた。


 シェスカが上へ行ってから 服を脱ぎ 風呂場へ入っていた。


 港町に真水の風呂ってのは 珍しい。よく見かけるのは 海水を薄くしたような風呂を良く見かけたのだが


 ここの風呂は 100%真水だ。体と頭を二回ずつ洗った。汚れていたせいか 


 一回目 洗った時は 泡が立たなかった。洗った後、風呂に浸かった。浴槽は石をくりぬいた形だった。


 浴槽に浸っている間 これからどうしようか考えていた。後、二日とちょっと魔術をつかえない。


 今の俺は、魔力を発する孔が閉じている。これは、体内に魔力をためて 回復させるためだ。


 また今度、あの 影 と対決する事になったら 勝てるという自信が無い。


 街をうろつくのは危ないか? まぁ、一回 散策してみるか。


 風呂を出て レイの服を借りて 上がっていった。 カウンターに料理は並べており、


 貪り食った。レイとシェスカはその様子をすごそうに見ていた。



「ご馳走様。」


「いえいえ、これからどうするんですか?」


「う~~ん、街を散策してみようかと思います。」


「今は、危ないみたいなんで くれぐれも早く 帰ってきてくださいね。」


「はい、わかりました。」



  そういって、外へ出た。まずは、あの 影 の消息をたどってみるか・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



第二章  殻貝の宿



  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・  体が痛い。 この感触は ベッドか?


 捕まって、刑務所か? いや、こんなにふかふかしているわけが無い。 一体、どこだ?


 貝殻が連なった飾り物が多くあろ、木で作られた開放的な家っぽい。


 さて、起き上がるか。



ラオスは、ベッドから足を下ろし、立とうとした瞬間 体が崩れ落ちた。



  いてっ、やばいな。体がまだ回復していない。多分、高等魔術を序文詠唱無しで唱えたからだ。


 大抵の魔術は 序文詠唱無しで 杖を 魔力の経路として 肩代わりするが


 高等魔術になると 杖だけでは 膨大な魔力をコントロールできなくなる。


 コントロールできなくなると 魔力が多く消費したり 暴走したりする。


 でっ、序文詠唱という 事細かな詠唱で 魔力の経路を保つわけ。


 だが、序文詠唱には、結構時間がかかる。それこそ 分単位で 長い奴では 何十分とか


 今回、俺が使った魔術  イデストビア・フィーテクス・マナルフ・ウィンド (破壊の大斬撃) 


 風の魔力を 粒子程度まで 小さくして 連なせ 大きな斬撃をつくる。


 普通、風の魔力というのは  浸食や速度 回転 風圧 などを軸として 術を構成する。


 グレーチェント・ウィンド (大いなる風) とかは 風圧。


 だが、イデストビア・フィーテクス・マナルフ・ウィンド (破壊の大斬撃) は 分解。


 大きな斬激が炎にぶつかった時に 風の魔力の粒子が 炎を粒子にまで分解して


 やがて 炎は 空気中に消えていったと そういうわけで 炎に効いたんだ。


 ただ、あの状況では 無と土の魔術で 体の自由を封じられ 


 リフトーム・ウォル・ファイア (反射壁の炎) は 間近に迫っていた。


 だから、序文詠唱 杖 なしで 魔術を使うしかなかった。


 結果、膨大な魔力を消費した。魔力を一瞬で膨大に消費すると 


 精神と肉体のバランスが 大きく崩れるため 気絶したというわけだ。でっ、今 足が崩れてしまったのも


 まだ、魔力が回復していない。こんな状況では 魔術を使ってはいけないんだ。

 

 俺の経験上 四日間は安静だ。きつい。



「大丈夫ですか~~~」



  下から まだ若い 十代くらいの女性の声が聞こえてきた。多分、此処は その人の家なんだろう。


 見た目は、十代後半。多分、俺より下だろう。淡い茶色の髪で 目は 茶色。


 可愛らしい風貌だ。この娘は、俺が魔術師という事を知っているのだろうか?



「あっ、大丈夫だ。俺を助けてくれたのか?」


「あっ、はい。 倒れていたので 兄を呼んで 二人で 運んできました。」


「兄貴 いるのか、此処は どこ?」


「殻貝の宿  っていう 宿です。兄と二人でやってます。」


「兄貴と二人で へぇ~~。親御さんは?」


「私が子どもの頃 死にました。」


「あぁ、そうか・・・・・・・・。   もしよかったら、此処を 一週間ほど泊めてくれないか?」


「いいですよ。一昨日から この街に 魔術師が侵入したらしく 今 外では 大変な事になっているんです。」



  俺がその魔術師だって事には気づいていないのか。まぁ、一安心だな。