BOOKデータベースより
「寄り添う事で、人の人生は変えられるか――
『孤狼の血』『盤上の向日葵』『慈雨』の次はこれ!!
柚月裕子が描く感動作!!
裁判所職員採用試験に合格し、家裁調査官に採用された望月大地。
だが、採用されてから任官するまでの二年間
――養成課程研修のあいだ、修習生は家庭調査官補・通称“カンポちゃん”と呼ばれる。
試験に合格した二人の同期とともに、
九州の県庁所在地にある福森家裁に配属された大地は、
当初は関係書類の記載や整理を主に行っていたが、
今回、はじめて実際の少年事件を扱うことになっていた。
窃盗を犯した少女。ストーカー事案で逮捕された高校生。
一見幸せそうに見えた夫婦。
親権を争う父と母のどちらに着いていっていいのかわからない少年。
心を開かない相談者たちを相手に、
彼は真実に辿り着き、手を差し伸べることができるのか――。
彼らの未来のため、悩み、成長する「カンポちゃん」の物語。
●柚月裕子は正義が似合う。
調査を通じて、なぜ罪を犯したのかを考えさせる。
ここがうまいんです。とても泣けます。
だから『あしたの君へ』という作品がいちばん好きなんです。
――今野敏氏」
図書館に予約していた本を引き取りに行って、単行本のこちらを見かけたので、借りてきました。
予約していた本が、予想以上に酷く、
(ミステリーとしての面白さはあったものの、社会問題を絡めようとして、あまりに一面的で、辟易してしまい)
読み進められなくなったので、途中放棄して、こちらを読みました。
小説としては、面白いと思います。
現代の社会的な病理などと上手く掬い取って、描き出していって
希望の見えるラストだったり、主人公の成長物語だったり。
でも、
家庭裁判所の調査官というお仕事は、少年事件と家事事件を扱います。
少年事件のところはともかく、
家事事件のところが、ツッコミどころ満載過ぎて。
以下は、辛口すぎかもしれません。ネタバレもあります。
この作品がお好きな方、まだ、読んでいない方は、読まない方がいいかもしれません。
まず、戸籍上の夫婦で、本籍地が違うってことはありません。同じ戸籍なんだもの。
作者は、出身地が違うってこと(もっと言えば、九州男児は、男尊女卑が強いってこと)を書きたかったとは思いますが、これは文庫本では直っている?
本当の離婚原因を裁判所とか調査官が突き止めたいと思う気持ちは分かりますが、
当事者(成人している妻と夫)が主張してないことまで、
裁判所(国家機関)が分け入って、探るのは、いかがなものでしょうか。
ましてや、調査官が、舅姑に話を聞くとか、主治医に聞くとか、あってはならないと思います。
自分の情報をどこまで(国家機関である裁判所に)開示するかどうかは、
自己決定権の問題です。調査官が、勝手に調査するとか、あってはならないと思います。
そもそも、調停も、基本的に合意の段階なので、
合意できなければ、離婚訴訟手続きで、離婚の決着をつけるというシステムのはずです。
(調停の裁判官や調査官や調停委員さんが、納得できなくても、合意できない以上、見送るしかない。)
もちろん、子どもの親権、監護などをどちらにした方が良いのかということで、
調査官が活躍することはあります。
それでも、刑事とはちがうので、
突然家にやってきたり、マンションの管理人さんにプライベートなことを聞きだしたりするのは、NGでしょう。
家裁調査官の大地くんの「結論」「真実をあぶりだしたこと」は正しかったかもしれません。
けれども、そのプロセスがどうだったかというと。。。