書店で,この装丁に魅了され,帯にググっと心掴まれ,即買いでした。
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夜の谷を行く
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BOOKデータベースより
「39年前、西田啓子はリンチ殺人の舞台となった連合赤軍の山岳ベースから脱走した。
5年余の服役を経て、いまは一人で静かに過ごしている。
だが、2011年、元連合赤軍最高幹部・永田洋子の死の知らせと共に、
忘れてしまいたい過去が啓子に迫ってくる。
元の仲間、昔の夫から連絡があり、
姪に過去を告げねばならず、
さらには連合赤軍を取材しているというジャーナリストが現れ―
女たちの、連合赤軍の、真実が明かされる。」
桐野夏生さんは,初期の頃(村野ミロシリーズとか)は,好きな作家さんで,追いかけたりしていました(柔らかな頬,グロテスクくらいまで)。
ただ,だんだん作品のテイストがヘビーになってきて,
ちょっと手が竦んでしまっておりました。
この作品は,決して軽いわけではないけれど,そこまでグロい描写ではなく
実の妹や,昔の仲間,スポーツクラブに通う同年代の女性との会話が中心のスピード感のある展開で,一度読み始めたら,手を止めさせない強さがあり,一気に読んでしまいました。
ただ,これも,私があさま山荘事件などを(もちろん,その頃は子どもで何も分かりませんでしたが)小説やルポルタージュなどで読んでいて,バックグラウンドは知っていたこと(作中の姪の台詞にも出てくるように,今ではネットですぐに調べられ,アウトラインは分かりますが),
子どもとはいえ,その事件のときには生まれていて時代の雰囲気が分かること,
初老に差し掛かっていて主人公の寂しさのようなものも何となく分かる
せいかもしれません。(そういう意味で,誰にでもおススメとは言えないかも)
実際の事件だし,実名も出てくるし,どこまでが史実で,どこからがフィクションか分からない感じです。
スキャンダラスに書かれていた当時の報道や,男性の論理だけで組み立ててしまった当時の(男性裁判官による)判決文では,わからなかった,あの事件が,
40年を経て,東日本大震災も経験した,そして,主人公と同年代の女性である
桐野さんだからこそ
説得力を持って,リアルに(客観的真実という意味ではなく),伝わってきました。
読んでよかったです。
