その呪い(ウィルス?)にかかったら(感染ったら?)、“それ”(It)に追いかけられる。
“それ”はあなたの命を狙っている。
“それ”は歩いてくるので、走ったり車であれば逃げ切れる。
“それ”は誰かに感染すことで、狙われる相手を変えることができる。
だが、感染した相手が命を落とせば、またあなたが狙われる。
“それ”は永遠に追いかけてくる……。
という、映画。映像はけっこう地味。グロいシーンも、ほぼない。冒頭のシーンが一番衝撃だったくらい。展開も、粛々と進んでゆく。
だがそれだけに、恐怖はじわじわと忍び寄る。襟元がチリチリする。こんなことが我が身にあったら、たぶん気が狂ってしまうだろう。“それ”は、感染している者以外は見えないのでなおさらだ。他のものから見れば、そのふるまいは狂人そのものだ。
そう考えると、この映画はフィクションでありながら。とてもリアルなものとして伝わってくる。
例えば、新型コロナ。どこでどのようにすれば防げるのか、いま世の中はどのような状態なのか、正しい情報を得ることがなかなか難しい。危険が直ぐ側に迫っていても、目に見えないので防ぎにくい。自然、疑心暗鬼となり人間関係は壊れてゆく。
また、その当人にしか見えないということは、他者にとっては存在しないのと同じ。いくら訴えても狂人扱いで、病院送りになるだけだ。そんな事例は、現実にいくらでもあるだろう。
そういう角度から観ると、ただのホラー映画として一笑に付すことはできない。さらに、肉体関係を持つことが呪いを移すことなので、どきりとする人も少なくないはず。本当にリアルだ。怖い。