岬の兄妹 | そうでもなくない?

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映画『岬の兄妹』。

大好きな作家の赤松利市先生が絶賛されており、興味が湧き観た。

 


 

この手の作品に触れると、いつも感じることがある。それは、何も言えないということ。どんな言葉を紡いでも、自身の吐き出したものがすべて空虚で嘘っぱちと感じる。この『岬の兄妹』もそうだった。

 

妹に売春させた兄を責めることはできない

貧困がすべての元凶などと言えば上っ面

買う方が悪いなんて自己責任をかざすのは卑怯が過ぎる

その前にまず生活保護や役所を頼るべきなんてお前何様

かといって憐憫の視線を向けるのは恥ずべき偽善者

 

90分間、ただただ兄妹の生きるさまを凝視していた。どういう気持で視ていたかなんてわからないけど、目を逸らしちゃいけないと思った。

 

ネットの記事で読んだことがある。この日本において、餓死する人がいるという。物があふれて大量の食品が廃棄されている時代に。制服代や給食費が払えずに、義務教育を受けられない子どもがいるという。日本は豊かな国ではないのか。いや、ずいぶん前からそれは幻想とわかっていた。でも、これほどまでとは思わなかった。勉強不足を恥じ入る。

 

もし、現実を知ることでなにかが救われるのなら、この作品を観た意味となるだろう。

そうであってほしい。なぜなら、私は何もできないのだから。

ただこの作品に寄り添い、彼の言葉に耳を傾けるだけでよいのなら、私は救われる。

せめて、電子の書庫に想いを残す。