【人間とは】HUNTER×HUNTER 30巻【ネタバレ注意】 | そうでもなくない?
- HUNTER×HUNTER ハンターハンター 30巻

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本日会社帰りに購入。帰宅途中で読み終えました。
なんというか…衝撃でした。
以下、ネタバレです。
ハンター協会の会長であり、最強のハンターであるネテロの命を賭した攻撃でも生きながらえたメルエム。それが、29巻のクライマックスでした。このまま人類は滅亡の道を歩むのか。それとも変貌しつつあるメルエムらによって、新たな展開となるのか。
結末はあっけないものでした。
メルエムの死。
ネテロ会長の戦略と貧者の薔薇(ミニチュアローズ)の毒により、従者とともに命を落としました。
しかし、その死は壮絶そのもの。覚悟を持った者の極み。
メルエムは、ひとりの人間と出会いそこから変異を遂げ始めました。
それは進化といってもよいかもしれません。昆虫や動物が人間になることが進化であるならば、人間が進化の頂点だというのであれば、メルエムはキメラ=アントから人間に進化したと言えましょう。
では、進化とはなんなのか。このエピソードの大いなる主題がこれだと感じました。
メルエムは、コムギという女性と出会って「敬意」や「愛」という感情を芽生えさせました。従者のシャウアプフは、それを王にとって邪魔なものと判断し様々な奸計を持って排除しようと企みますが、王に対する服従心から尊重せざる得なくなります。これもある意味敬意でありましょう。また、もう一人の従者モントゥトゥユピーにおいては、戦いの中で強敵を敬う感情を得た。騎士道や武士道に通ずるこの気持を持つということは、人の中でも崇高な部類に所属するということです。彼もまた、進化したといえるでしょう。王のためにプライドを捨てゴンに頭を下げたネフェルピトーも同様でしょう。
つまり進化とは、崇高な人間だけが持ちうることのできる「敬意」や「愛」を備えることだと、この物語は教えてくれます。人間であることが進化の頂点ではない、さらに力や能力で人間を超えることですら進化とはいえない。心がすべてを超越して高みに昇ることこそが進化なのだと。
この物語は知らしめているのです。
己が死に向かって歩んでゆくのを知ったメルエム。最期は、尊敬する棋士であり自分を愛してくれたコムギとともに過ごしたい。そのためにすべてを捨てた王の思いは、察するに余りあります。メルエムは覚悟を持った者。そう前述しましたが、そのような大業なものではなく、王ではないただひとりの人間として安らかになりたいという願いだったのかもしれません。
人間とは何か、進化とは何か。作者の冨樫義博は、その深遠なテーマを僕らに投げかけているのです。
人類の敵キメラ=アントを討伐した人類。そして、欲望のために他者を踏みにじる人類。
人間だからといって、進化しているわけではないのですね。
パームの言葉「あたしたちは残酷よ。彼等(蟻)と何一つ変わらない。いえ それ以上に」。
人間は、人間として生まれてきたから人間なのではない。「敬意」と「愛」、それを持った時はじめて人間になれるのだ。それを忘れずに生きてゆきたいと思います。

