ロッキング・オン社長の渋谷陽一さんの執念で刊行されたのが、この石井 隆監督の2000年になって初めての短編集『カンタレッラの匣』
90年代に執筆された未刊行作品集。
70-80年代の作品に比べると、ややタッチがソフトになっている感じがします。
内容は10の「匣(はこ)」から成った、バラエティーに富んだ短編集。男女のロマンをベースに、ホラーテイスト、ややコメディテイストなど趣向をそれぞれ変えたものになっている。
この作品集のあとに、ロッキング・オン、ワイズ出版から数冊、石井隆作品は刊行されていますが、2001年で止まっています。
本書の巻末に漫画を描いていくかどうかについて若干言及がありますが、結果新作は20年近く出ていません。
刊行書籍の詳しくは公式サイトをご覧ください。
本書の目次。巻末の画集とインタビューが必見と思います。
1~10までの匣(蓋のついたハコ)に分かれて短編がそれぞれ展開されます。
ちなみにカンタレッラ(cantarella)とは、近世イタリアの貴族が暗殺に用いたとされる毒薬らしいです。「雪のように白く、快いほど甘美な粉薬」と形容されているので、石井ワールドにピッタリですね。
巻末画集の1ページ・確か映画『ヌードの夜』のポスター。
こちらは天使のはらわた2巻の確か表紙だったような。
巻末の渋谷さんと石井監督のインタビューは、ファン必見です。
渋谷さんの石井作品への愛と執念が、この未刊行作品の出版にこぎつけていただけたことがわかり、感謝です!
石井さん自ら、自分のファンの多くは「隠れ石井ファン」だと言っています。確かに。。
そこで、渋谷さんが声を上げて未刊行作品をまとめて世に出していただいたのが素敵です。
ファン(隠れ含み)の気持ちを代弁していただけた感じですね。
本書は、絶版だらけの石井作品の中では数少ない新刊が買える本です!
ロッキング・オン渋谷さんがいる限りは、絶版にならないような気がします。
ファンとしては、非常にありがたいですね。石井作品に目を触れる方が増えることを願います。
レア度:☆☆☆
おススメ度:★★☆