以前『甘い水』で紹介した松本剛先生の『すみれの花咲く頃』。
読み返して、また泣いてしまった。甘い水のような嗚咽も出るような泣き方ではなく、ほろっと来る優しさに泣ける話。
あらすじは、宝塚を目指す同級生の女の子を、男子が応援していく話。
それぞれの細かな心の描き方が丁寧に描かれている。
こちらが、当初の単行本。他に短編複数収録されていて、いずれも素晴らしい。
こちらは、復刻版。巻末にTVドラマ化時の主演女優、多部未華子さんとの対談も載っていてお得!ドラマも素敵でした。
ふとした会話のすれ違いから、遠藤君子は宝塚を受けることを高井に白状してしまう。
そいを聞いて、面食らう高井。ここから物語が一気に動き出す。
一番好きなシーン。男の子が持つべき優しさってこういうことじゃないだろうか。
勇介の優しさに、泣ける。。。
ここも、高井の優しさが出てくる場面。京都での修学旅行のさなかに「宝塚行きたいか?」と聞く高井。
ずっと君子のことを気にかけているからこそ、出てくるセリフなんだろうなあ。
これが最後の場面。終わり方も松本先生の作品はいつも素敵。余韻が必ずあるんだよなあ。読んだ後にしばらく、その世界に浸れます。
復刻版に収録されている、対談。ほとんどマスコミに姿を出さない松本先生の貴重なショット。(写真右)
松本先生「覚えていてくれる人がいるんだなあ」って、そりゃ覚えてますよ。
というか、『すみれの花の咲く頃』と『甘い水』は、いつも頭の隅にあります。
これらの作品と出会わなかったら、もっと人に優しくない人間だったかも。
この対談の最後の松本先生のセリフが、先生の作品全体を象徴しているかな。
レア度:☆☆☆
おすすめ度:★★★★★★★★★★★★★
泣きたいとき、優しさって何だろうと迷われている時に、ぜひ読んでください。
以前投稿した「甘い水」はこちら。こちらは、さらにグシャグシャに泣けます。読後、放心状態になりますよ。
ちなみに、
1.最初の単行本、
2.復刻版、
3.電子書籍版
でそれぞれ微妙に収録されている短編が異なっています。(もちろん表題のすみれの花咲く頃はどれにも収録。当たり前か)
以下の画像の通りです。
結果、現在読むなら、Kindleなどの電子書籍版がすべて網羅しているので良いと思います。(松本先生の作品は、紙で読みたい気もしますけどね)
1.最初の単行本
2.復刻版(紙)・・・『もんくのある気持ち』、『よべない名前』が無いが、『なかない渚』と『すこしときどき』が追加。
加えて、貴重な多部未華子さんとの対談も収録。『松本剛×多部未華子×落合将』
3.電子書籍版(以下はKindle)・・・こちらは対談以外の短編は一番、揃って収録されています。対談は、確か講談社のサイトで公開されていたはずだが、見つけられず。。。