『墨に五彩あり』

墨の中にも多彩な色がある、という意味の

この言葉が好きです。




墨の奥の奥まで

じわぁ〜っと色が視えてくるような気がして。

単に色だけではない

グラデーションの広がりを感じます。




少し前の話しになりますが、

以前よりも墨を使うようになり色を調べていたら

墨作りまで興味が広がり

“紀州松煙墨” に辿りつきました。



紀州松煙墨は小さな炎で2週間、

赤松を燃やし続け煤を採取し、膠と練り、

こねて型に入れ、くぬぎの炭に入れ、

ゆっくり乾燥させるのに半年以上。

布に包んで5年から10年熟成させると、

いい塩梅の墨ができる。




その製煤から松煙墨の製造までを

日本でただ一人、一貫して行っているのが

紀州の堀池雅夫さんです。



堀池さんの手掛けた紀州の墨はどんな色なんだろう?

堀池さんにお会いしたい。会いにいこう。

紀州まで行けたら…と思っていたら、

なんと先日、横浜でお会いできました。




昭和30年代、様々な理由で

紀州松煙墨は一度は製造が絶たれたけれど

古来から伝わる方法で

堀池さんにより復活された紀州松煙墨。



一生、たくさん、描きたくて

大きめの墨を購入しました。

にじみの基線が美しいのが特徴だそうです。



堀池さんはとても和やかな方でした。

絵を描きましょう、と仰って

描いてくださったのは大黒様と布袋様。




堀池さんの彩煙墨を使用しています。

色がとても柔らかいのです。

画材が大好きなので

もちろん欲しくなりました(笑)



絵の中に

わたしの名前も入れてくださいました。

そして、『福』の他に

わたしの屋号の『温』の字も入っています。



福がたくさん届きそうですね。

ありがたいことです。




ご興味のある方は、

是非、足を運んで見てくださいね。




横浜高島屋にて

「日本の伝統展」2023年9月18日月曜日まで開催。